研究課題/領域番号 |
23700255
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研究機関 | 北海道情報大学 |
研究代表者 |
大島 直樹 北海道情報大学, 情報メディア学部, 准教授 (50375466)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 香り / 視線計測 / 感性 |
研究概要 |
本研究は、入院患児の生活の質(QOL)を高めることを目標に、視線計測から心の動きを探り、香り刺激を呈示することによる解決策の探求を目的とした。この目的を達成するため、3つの実験実施を設定した。「実験1 子どもたちが香り刺激に対して持つイメージを視線計測によって把握する。」「実験2 入院患児たちが病院内の各要素に持っているイメージを視線計測によって把握する。」「実験3 香り刺激によって入院患児たちの生活の質を高める方策を把握する。」平成23年度は、実験1の予備実験として、大学生を対象に香り刺激に対して持つイメージを視線計測で把握する実験を実施した。視線計測システムには、Tobii社 X60と専用解析ソフトTobii社 Tobii Studio Professionalを導入した。香り刺激の呈示には、精油を染みこませた脱脂綿を入れた、ふた付きのプラスチック製容器を使用した。香り刺激は、ラベンダー、ティートリー、グレープフルーツ、イランイラン、ペパーミントの5種の精油を用意した。視覚刺激呈示ツールは、視覚刺激である画像を一定間隔時間で遷移できるツールを実験者が自作した。視覚刺激は、インターネットからダウンロードしたフリーの画像素材20枚を用意した。被験者には実験前に視覚刺激と香り刺激それぞれに順位をつけさせた。そして、実験では、被験者それぞれが順位付けた上位どうし、下位どうし、上位と下位の組み合わせ4組を呈示し、視線の経緯を計測した。本実験からは、有意な結果を得ることはできなかった。その要因として、準備した画像に対する嗜好性が関与していると考えられた。そのため、多種多様なより多くの画像を準備し、被験者に選択させることによって、本研究で見出したい香り刺激に対して持つイメージを視線計測で把握する方策を見出せる可能性を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本年度では、「実験1 子どもたちが香り刺激に対して持つイメージを視線計測によって把握する。」「実験2 入院患児たちが病院内の各要素に持っているイメージを視線計測によって把握する。」の2つの実験実施を予定していた。しかし、研究費の確定が遅かったこともあり、本研究に不可欠な視線計測システムの導入が遅くなってしまった。そのため、視線計測システムの使用方法の習得に時間がかかってしまった。また、実験実施時期を明確にできなかったこともあり、近隣の病院への実験協力を取ることもできなかった。そのため本年度実施予定だった2つの実験を実施するまでに至らず、実験1の予備実験を実施しただけに留まってしまった。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の遅れを取り戻し推進させるため、所属機関の自主研修制度を利用して、平成24年度中期に3ヶ月間の研修実施を予定している。研修先は、本研究の基本概念でもあるチャイルドライフ・デザインを推進させており、研究推進に協力いただいている拓殖大学 工学部の岡崎章教授のもととした。この研修を通じて、研究方法の見直しを図るとともに、病院の協力を仰ぎ実験実施を遂行させ、本研究を推進していく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究費使用計画として、当初予定はしていなかったが、タッチパネル式のコンピュータディスプレイの導入を予定している。これは、実施した予備実験からわかったことであるが、タッチパネル式のコンピュータディスプレイを使用させることによって、被験者の実験ツール操作を緩和させ、実験実施が有効にはたらくと考えられるためである。そのほかについては予定どおり、日本感性工学会への研究成果発表、実験補助者への謝金、および研究成果印刷費として使用する。
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