本研究の目的は、実生活において多く発生する「複数人での買い物や旅行先での目的地の決定」などの状況において、感性モデルを利用した情報システムを適用させるために、各個人の嗜好や関心の傾向を示す感性モデルを利用して、複数人の感性モデルの類似点や相違点を見つけ出し、彼らの納得できる商品や行き先を、各人の持つ情報端末を通して提案する仕組みを開発する事である。本研究の具体的な目的として、個人の商品に関する嗜好や関心をモデル化し、複数人のモデルの類似点や相違点を導出する仕組みと、それを利用したユビキタスシステムを開発することである。 本研究では、個人の感性モデル作成のための感性情報の取得実験として、モノに関する感性モデルの生成を行う。10人の被験者に対して、10~60着の洋服に関する嗜好を計測する被験者実験を行い、洋服の持つ特徴(色や形など)とその嗜好の関係を感性モデルの生成方法に基づいて作成を行う。例えば、モノの感性モデルの場合、洋服の色や形などの画像的な特徴を数量化し、モノの特徴とモノの嗜好に関する個人の対応関係をラフ集合によりルール化する。そして、先行研究で開発した手法を用いてルールからどの特徴を重要視しているのかを計算し、各個人の感性モデルとして生成した。次に、感性モデルの類似点・相違点を導出する手法として、各個人の感性モデルを構成する特徴をその人の嗜好の特徴とし、サポートベクターマシンを用いて、類似する感性モデルとそうでない感性モデルに分類する仕組みを開発した。
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