研究課題/領域番号 |
23700270
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研究機関 | 一般財団法人ファジィシステム研究所 |
研究代表者 |
徳永 憲洋 一般財団法人ファジィシステム研究所, 研究部, 主任研究員 (00432956)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 成長型ニューラルネットワーク / Growing Neural Gas |
研究概要 |
Growing Neural Gasなどの従来の成長型ニューラルネットワークの持つ問題である、ノイズへの脆弱性、冗長ノードの生成、学習結果の不安定性、を解決するべく、生成モデルの立場から成長型ニューラルネットワークの理論・アルゴリズムを確立することを目指し、(1)アルゴリズムの確立、(2)動作チェック、(3)代表的な成長型ニューラルネットワークとの比較実験による本手法の有効性検証、を行った。(1)では、逐次学習型の混合ガウスモデルをベースにし、カーネルの追加コントロールをベイズ情報量規準で行うアルゴリズムを導出した。またパスの生成に関しては確率密度関数から導き出される負担率を利用したアルゴリズムを導出した。これにより提案手法のアルゴリズムは確立された。(2)では、人工データを用いてアルゴリズムのチェックを行った。またカーネルの追加コントロールとして赤池情報量基準とベイズ情報量規準のどちらが良いかを比較検討した。その結果ベイズ情報量規準は赤池情報量基準に比べて結果に安定性があることがわかった。(3)では、Growing Neural Gasなどの代表的な従来の成長型ニューラルネットワークとの比較実験を行った。比較実験では人工データと画像データを用いた実験を行った。その結果、本手法は従来の成長型ニューラルネットワークに比べて、ノイズが付加されたも、ノイズの影響を受けず、適切なグラフネットワークが生成された。また冗長なノードが生成されず、非常にシンプルなグラフネットワークを生成した。さらに従来の成長型ニューラルネットワークは結果にばらつきが生じたが、提案手法は結果に安定性があった。これのら結果から本手法の有効性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の計画は、提案手法の基盤確立を目標とし、(1)アルゴリズムの確立、(2)動作チェック、(3)実験による有効性の検証を行うことであった。その結果、(1)では、逐次学習型の混合ガウスモデルをベースにし、カーネルの追加コントロールをベイズ情報量規準で行うアルゴリズムを導出した。またパスの生成に関しては確率密度関数から導き出される負担率を利用したアルゴリズムを導出した。これにより提案手法のアルゴリズムは確立された。(2)では、人工データを用いてアルゴリズムのチェックを行った。またカーネルの追加コントロールとして赤池情報量基準とベイズ情報量規準のどちらが良いかを比較検討した。その結果ベイズ情報量規準は赤池情報量基準に比べて結果に安定性があることがわかった。(3)では、Growing Neural Gasなどの代表的な従来の成長型ニューラルネットワークとの比較実験を行った。比較実験では人工データと画像データを用いた実験を行った。その結果、本手法は従来の成長型ニューラルネットワークに比べて、ノイズが付加されたも、ノイズの影響を受けず、適切なグラフネットワークが生成された。また冗長なノードが生成されず、非常にシンプルなグラフネットワークを生成した。さらに従来の成長型ニューラルネットワークは結果にばらつきが生じたが、提案手法は結果に安定性があった。これのら結果から本手法の有効性が示された。以上のように、それぞれの計画は予定通り遂行され、平成24年度の国際学会で発表予定である。また論文も執筆中である。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の計画通りに、提案手法のアルゴリズムはほぼ確立されたが、いくつかの検証実験などを行う中で、以下に示す課題も見つかった。(1)提案手法は最急降下法を用いたパラメータの逐次更新を行なっているため、局所解に陥ることもある。局所解に陥らない工夫が必要である。(2)入力データの次元が大きくなると、計算時間が指数的に増加する。理由は負担率の計算時に多変量正規分布の演算を行うためである。計算時間を短縮する方法が必要である。今後の研究計画ではこれらの課題に対する取り組みが織り込まれる。また応用課題として動画像を利用した対象物のパターン認識課題を行う。動画像内における様々な対象物を本手法で逐次的かつ網羅的に記憶させる。本手法を利用することで様々な対象物のパターンを辞書として記憶することが可能であり、この応用課題はロボットの知識獲得に利用できると考えられる。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度は主として理論・アルゴリズムの確立と有効性検証を行った。これらの研究作業は筆記用具とノートと計算機で行うため、こららの物品を購入した。また研究が基礎的な段階からスタートしたため、旅費を使用することがなかった。そのため次年度に使用する研究費が発生した。平成24年度は23年度の成果を踏まえ、対外的な発表を積極的に行う予定である。これにかかる費用として物品費(計算機)や旅費(国際会議)、雑誌投稿にかかる経費などに使用する計画である。
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