研究課題
本研究の目的は、Growing Neural Gasなどの従来の成長型ニューラルネットワークの持つ問題である、ノイズへの脆弱性、冗長ノードの生成、学習結果の不安定性を解決するべく、生成モデルの立場から成長型ニューラルネットワークの理論・アルゴリズムを確立することである。この目的を達成するべく、最終年度では以下を実施した。(1)前年度に試験的に開発したGrowing Topology Representing Network(GTR)の学習アルゴリズムを確立させ、国際学会での発表及び学術雑誌への投稿を行った。(2)GTRの性能を確かめるべく、人工データおよび画像データを用い、従来手法との比較実験を行った。データにはノイズを付加したデータを用いた。ノイズの発生頻度を増加させた場合、従来手法ではノイズに対して新規ノードを追加するため、分類成功率は0~15%程度と低かった。それに対しGTRは、分類成功率が70%を超えた。すなわちGTRはノイズに影響されずにグラフネットワークを成長させた。また、生成されたノードの数を比較すると、GTRのノード数は従来手法に比べて70~94%も少なかった。それにもかかわらず、分類成功率は高いため、GTRは必要最低限のノード生成が行われていると言える。さらに、学習の安定性を調べるために、複数回の学習プロセスを試行し、学習結果を比較した。その結果、従来手法は試行の度に異なる構造のグラフネットワークが得られたが、GTRは毎回ほぼ同じ構造のグラフネットワークが得られた。(3)本手法の応用として移動ロボットにおけるトポロジカル地図の自己組織的構築へ適用することを考え、試作システムの開発や実験を行った。その結果、本手法が地図の生成に適していることが示唆された。
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知能と情報
巻: Vol. 25, No.2 ページ: 659-675
IEICE Transactions on Information and Systems
巻: Vol. E95-D, No.5 ページ: 1506-1518
10.1587/transinf.E95.D.1506