行為の意思作用感(sense of agency)のメカニズムをロボット成論的アプローチにより理解することを目的とし、意思作用感の異常が、人が柔軟で多様な行動を生成するために欠かせない予測運動制御システムの機能的な階層性の異常に関連する、との計算論的モデルを検証した。統合失調症に特徴的な行為の意思作用感の異常が、階層的な神経回路における機能的断裂と、これによって生じる予測誤差最小化プロセスの異常に対する代償、として理解できることが示された。この結果は、統合失調症の病態に対するシステムレベルでの原理的説明を提供し、計算論的精神医学が、神経・精神疾患の研究に貢献できる可能性を示唆している。
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