研究概要 |
本研究の目的は、密パッチ上の確率モデルを使用する統計推定による新規な多次元信号処理法を提案することである。密パッチとは、ボクセルパッチ(近傍ボクセル集合)を互いに1ボクセルずつ重ねて敷き詰めたものを意味する。各パッチ内の統計量がランダム変動に対してロバストであり、かつ脳画像の局所構造をよく捉えることができるという利点を活用することで、位置ごとに異なる柔軟な正則化を実現できる。密パッチ情報に基づく3次元信号処理法の実現は,BMI工学や神経科学などへの発展可能性を持つ。 本年度は、画像信号処理における逆問題を主な対象とした。画像信号処理においては、パッチベースのマルコフ確率場モデルを用いているM. Tanaka & M. Okutomi (CVPR, 2008)を基盤とし、信号の局所構造を描写するLARK特徴量(P. Milanfar, IEEE Signal Process. Mag., to appear)を利用して、逆問題であるノイズ除去課題における性能向上を計った。具体的には、従来は類似パッチの探索にはパッチ間の空間的距離が基準とされていたところをパッチに映っている内容を基準とし、またパッチ同士の重み付けを空間的距離からLARK特徴量の距離とした。5種の画像(House, Parrot, Lena, Barbara, Jeans)で性能評価を行ったところ、強い繰り返しパタンを持つJeans画像以外において性能向上が見られた。
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