研究課題/領域番号 |
23700286
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研究機関 | 稚内北星学園大学 |
研究代表者 |
柊 和佑 稚内北星学園大学, 公私立大学の部局等, 講師 (80530659)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 地域情報源 / ディジタルアーカイブ / Webアーカイブ / 観光利用 / 携帯情報端末 / 地域振興 |
研究概要 |
基盤整備:(1)ディジタル化およびデータ入力といった作業のために、協力学生とのメーリングリストを作って連絡をとりあう体制を確保し、進捗情報を確認できるようにした。(2)作業を行う学生とは、学内で会議を行う体制を確保し、隔週ペースで会議を開催し、研究プロジェクトの推進に必要な議論や打ち合わせを行った。(3)稚内におけるプロジェクトの進行のため、稚内市および稚内私立図書館、稚内市商工会議所および観光に関係ある民間企業と連絡を取り合う体制を確保し、半年毎に会議および進捗状況の報告会(2回実施)を行った。調査・収集:(1)写真や貴重書のディジタルアーカイブを行っている国内外のプロジェクトを調査した。(2)稚内市内を調査し、重点的にデータを作成する観光スポットを決定した。(3)稚内市立図書館にある古い地域情報資源のうち、稚内の歴史に関係のありそうな古い写真1000点およびガラス乾板20点を提供していただいた。(4)ハートランドフェリー社が管理していたサハリンとの交流に関する古い写真4000点を提供していただいた。システム構築:(1)大学内に地域情報資源の保存およびデータ入力のための部屋を作り、ディジタル化・データ入力用の機材を2組設置した。(2)データ提供用、データ保存用のサーバ類を整備し、入力されたデータ(写真データおよびそのメタデータ、Webアーカイブデータ)を一括管理できるようにした。(3)携帯情報端末を用いて閲覧するためのユーザインタフェースの検討および試作を行った。23年度まとめ:前年度では、ディジタルアーカイブを構築するための地域情報資源の選定と、関連する写真の調査・収集・ディジタル化、データ入力、Webアーカイブ構築のための整備を行った。また、収集から観光客への提供まで含めたプロジェクト全体像の計画を立て、素材となる地域情報資源のディジタル化およびデータ入力を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
基盤整備に関しては、稚内市との定期的な報告会が行えるようになり、写真等の地域情報資源の提供をうけることが出来るようになった。また、稚内市観光課から様々な意見がもらえるようになった。また、商工会議所を通じて市の商店街組合とも接点ができており、市民からの写真の提供を受ける体制ができつつある。調査・収集に関しては、計画通りに既存の文化財のディジタルアーカイブの調査を進め、どのような注意すべき点があるか調査を行った。その際、稚内市で実際に利用する可能性の高い人々にヒアリングを行うことが出来た。ヒアリングにより、観光でディジタルアーカイブを利用する場合の注意点の抽出ができた。システムの構築に関しては、機材と手順の調整を行ったことにより、それなりの速度で、高画質な状態で取り込み作業を行うことができるようになり、その収集と、実際に利用する解像度への変換、蓄積などの、地域情報資源のディジタルアーカイブ構築について、広範な知見が得られつつある。また、提供用メタデータスキーマの検討および、観光客の持ち歩く携帯情報端末の調査は済んでおり、提供機能実装のための第一段階は終了している。*観光客の持ち歩く端末は、様々な種類が存在しており、それぞれ性能が大きく異なる。どの端末でも利用できるディジタルアーカイブを構築するためには、提供するデータ形式などの他に、様々な制約が存在している。また、将来的な利便性を考えると、ワンソース・マルチユースが前提となる。それらを見たすための、メタデータスキーマの検討と、利用する技術の検討がここまでで最も苦心した部分である。今後は、計画に沿ってシステムの実装を進めることになり、比較的単純な作業となる。
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今後の研究の推進方策 |
主に、下記の5つの内容を並行して進めていく。(1)前年度から継続して、稚内市内で地域情報資源の調査を進めていく。収集対象はすでに決まっている他、市や住民にはプロジェクトの目的が周知されているため、2年目はより円滑に進むことが期待される。また、稚内およい樺太の研究者との繋がりも出来たため、彼らの持つ地域情報資源の利用も考えて行くつもりである。(2)前年度から継続して、地域情報資源のディジタル化を進めていく。1年目に基本的なスキーマと作業手順はきまっており、作業者間のコンセンサス形成も進んでいる。なお、3月31日時点で3000枚程度のディジタル化が完了している。(3)ディジタルアーカイブの稼働。ディジタル化した地域情報資源の蓄積は進んでいるため、次年度は提供用のシステムをオンライン上で動作確認を行いながら構築していく。前年度中にユーザインタフェースの検討・試作は行っているため、その手法の検討を中心に進めるつもりである。(4)既存ディジタルアーカイブの利用手法の検討。本プロジェクトのディジタルアーカイブの他に、既存のディジタルアーカイブのデータを観光に利用するための要求分析を行うつもりである。稚内市は歴史的にサハリンとの関連が深く、稚泊航路(稚内樺太間の航路)に関する地域情報資源もそれなりに存在する。しかし、それらデータは既存の国会図書館などのデジタルアーカイブにもかなりの量が保存されている。次年度は、それらディジタルアーカイブの利用手法も検討するつもりである。(5)研究成果の中間発表として各学問分野の学会等で発表(成果報告)をおこなう。情報処理学会、人工知能学会といった情報学、図書館学を扱っている学会を中心に発表するほか、教育工学、観光情報学も視野にいれ、賛同者を巻き込んで研究を進めていくことを考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
上記「今後の研究の推進方策」に対応した研究費の使用を計画している。すなわち、次年度の研究費は主として(1)調査にかかる費用、(2)ディジタルアーカイブ構築にかかる費用、(3)提供用システムの検討と構築にかかる費用(4)学会発表(成果報告)にかかる費用,の4種類に使用することを計画している。
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