研究課題
本研究では、学生が病院経営について学習する場合において、シリアスゲームの利用という観点から、患者、医師、コメディカル、医療材料、お金の流れを踏まえた病院経営ゲームの構築を行った。ユーザは病院における意思決定者(=病院長)となり、患者や医療従事者の満足度を踏まえながら、集患し、病院経営の健全化を試みるものである。これをネットワーク上の閉じた世界に展開し、ユーザ同士で競うことにより、自発的な病院の各種経営指標を理解し、意思決定を行う。具体的には、病院内における「ヒト・モノ・カネ」の動きのモデル化を行い、そのモデルに従って各経営ファクターが変化する。これには、現実に起こっている病院内での関係性を元にしている。例えば患者が増えすぎて医療従事者一人当たりの労働負荷が高くなった場合、満足度が下がり離職に繋がるような事が起こる。これをPHP+MySQLを用いてサーバー上に実装し、医学部の学生および情報系の学生を対象に実際にゲームを行ってもらい、最後にディスカッションを行った。結果は、ゲーム環境を用いることによる学習環境への主体的な参加、およびネットワーク化による他人との競争環境であることから、病院経営に関する知識の獲得が認められ、また病院経営そのものに対して興味の向上がわかった。また、前提条件として医学部の学生と情報系の学生は主に医療環境に対する知識の差があるが、医学部の学生については意思決定そのもののプロセスを学ぶことが認められ、また情報系の学生については病院がいったいどのような環境であるかを理解することが認められた。このように、ネットワーク環境を用いた病院経営のシリアスゲームは、病院経営に関する知識獲得について幅広く利用することが可能であることが判明した。
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日本遠隔医療学会雑誌
巻: vol.8, no.2 ページ: 249-251