先行研究より、ヒトでは物体認識において局所的な特徴よりも全体的な特徴についての情報を優先的に処理する傾向が見られるのに対し、ヒト以外の霊長類や鳥類、ヒトの乳児では必ずしも全体的な処理を優先的に処理する傾向は見られないことが示されてきた。 本研究では、チンパンジーと3ヶ月から12ヶ月のヒトの乳児を対象に、部分的な形の情報を時間的に統合して全体的な形の情報を知覚する能力を調べるため、スリットの隙間から水平方向に動く線画を認識する課題をおこなった。その結果、形態情報の統合能力は、チンパンジーよりもヒトの方が優れていること、ヒトでは生後5,6ヶ月頃から発達することが明らかになった。
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