研究課題
本研究の目的は、乳児を対象に、3次元物体認識の形状に着目したカテゴリカル知覚の実験的に検討することである。人工物体を用い、成人やサルを対象に3次元物体認識メカニズムの研究はこれまでに多くあるが、乳児を対象とした3次元物体認識の形状に着目したカテゴリカル知覚は検討されていない。しかしながら物体を安定して知覚する為には欠く事のできない能力である。本年度は、様々な変動要因を統制する為にコンピュータグラフィックスで人工的に3次元物体としての顔を作成し、顔同士を弁別させる行動実験と脳活動計測実験により、カテゴリ内の認識の発達過程の検討を行った。その結果、3次元物体としての顔を学習する際、学習すべき顔の視線が観察者(乳児)を直視している場合には、視線がそれている場合よりも顔の学習が促進されることが明らかになった。さらに、乳児にとって学習すべき顔の視線が観察者(乳児)を直視している場合よりもそれている場合で脳活動が上昇することを明らかにした。これらの知見から、3次元物体としての顔の学習において、視線が乳児にとって重要な役割を果たすことが示された。このことは、国際学術雑誌Vision ResearchやNeuroReportに投稿、掲載され、海外では乳児を対象とした幅広い分野の研究者が集まるICIS(International Conference on Infant Studies)、国内では、日本神経科学学会などいくつかの学会で発表された。
2: おおむね順調に進展している
乳児を対象とした3次元物体のカテゴリ内、カテゴリ間の認識の発達過程を検討をすることが本研究の目的であり、本年度は、カテゴリ内の認識の発達過程を検討するための行動実験を行った。さらに、昨年度のうちに近赤外分光法(NIRS)の使用についてトレーニングしていたため、同一刺激を用い、脳活動計測を平成24年度中に行うことができた。平成25年度実施予定のカテゴリ間の認識の発達過程を検討するための行動実験に取り組んでおり、おおむね順調である。
平成24年度の成果をもとに行動実験を続けて行い、カテゴリ内、カテゴリ間の認識の発達メカニズムを明らかにする。当初の計画にそっておおむねスムーズに進行しており、既にカテゴリ間の認識の発達過程を検討する行動実験が終わり次第、論文として投稿し学会等で発表予定である。
おおむね順調に進んでおり、成果を論文として発表するため投稿準備中であったが、11月下旬に就職が決まった。そのため、論文を英文校閲に出す時期が遅れた。論文を投稿、掲載する際の費用を予定していたが、時期が遅れたことにより繰越金が発生した。平成24年度繰越金は、先述の論文掲載費として使用予定である。7月にはアジア圏の視知覚研究者が集うAsia-Pacific Conference on Vision (APCV 2013)で現段階での成果を発表予定である。他、国際学会発表登録の要旨、国際誌への論文投稿の際に、英文校閲のための謝金を計上する。
すべて 2012 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (5件) 備考 (3件)
Vision Research
巻: 68 ページ: 14-18
10.1016/j.visres.2012.06.022.
Neuroreport
巻: 23 ページ: 799-803
10.1097/WNR.0b013e32835734a8.
http://c-faculty.chuo-u.ac.jp/~ymasa/labo/gyoseki.html
http://c-faculty.chuo-u.ac.jp/~ymasa/labo/yamashita.html
http://kuris.cc.kagoshima-u.ac.jp/315569.html