研究概要 |
本年度は、3次元物体の知覚発達解明を目的として、日常的に見る物体の見えに対する行動実験を行った。成人において、物体に対して正面からの視点よりも斜めからの視点において、物体の視点の変化に感度が鈍いこと、さらに斜めからの視点に対する好ましさの評定が高いことが示されている(Niimi et al., 2008, 2009)。これをふまえて乳児を対象に、3次元物体における正面付近および斜めからの視点変化に対する感度と、斜めからの視点による画像の選好度を検討した。 結果は、8ヵ月児では成人と同様の傾向が見られたが、6ヵ月児では見られなかった。このことから日常的に見る物体の見えに対する成人同様の知覚は生後6ヵ月頃から8ヵ月の間に現れ始めるということが明らかになった。さらにカテゴリによる知覚への影響を検討したところ、生物と無生物といったカテゴリに関係性があること、またそれは乳児がどの程度普段慣れ親しんでいたかが影響を及ぼすということが示唆された。 このことはすでに国際学会で報告され、学術雑誌Journal of Visionに掲載済みである。
|