研究課題
コミュニケーション時に相手の行動や意図を予測し理解するためには、自己から他者への視点変換が重要な役割を担う。しかし自己視点から見た視覚表象がどのように他者視点に変換された表象へ投影されるのか、その脳メカニズムは分かっていない。本研究申請者は自己・他者方向判断課題遂行時の脳波実験によって、前頭連合野と頭頂連合野のシータ波(6Hz)の位相同期が視点変換に関わる可能性を示した。しかし、脳波では空間解像度に限界があり、詳細な脳部位を特定することが困難である。さらに、この視点変換に関係する視覚注意や運動に関わる脳メカニズムについても未解明な点が多い。本研究では同課題遂行時に空間解像度の高い光トポグラフィ計測を行い、すでに脳波で得ている知見と合わせることで、視点変換に関わる脳ダイナミクスを明らかにする。さらに、この視点変換に関係する視覚注意や運動に関わる脳メカニズムを明らかにすることも目的とする。本研究では、視点変換がコミュニケーションの基礎である社会性における注意にも関係するため、視覚注意と感情の関係を脳波測定実験で探った。その結果、視覚注意に関係する反対側の視覚野のシータ波が、好きな色に注意した時に増加することを示した。さらに、運動と視点の重ね合わせ課題を行った結果、この重ね合わせでは、心的回転を使うグループと視点取得を使うグループに分かれることが分かった。それぞれのグループは異なる戦略を使うように教示されるとパフォーマンスが低下した。これに伴って、前頭脳波のシータ波と光トポグラフィの前頭血流量が増加した。以上の結果は、前頭のシータ波が視点変換や心的回転をするうえで重要であると同時に、そのソースが前頭連合野にある可能性を示唆した。
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