流暢な発話は、聴覚・発話系の神経回路と発話器官の精緻な時間精度による円滑な連携により実現する。本研究では、疑似聴覚フィードバック法を用いて発声の定量的分析と脳機能計測を行い、発話の流暢性の障害をもつ吃音者と健常者を対象に、聴覚・発話系の発声制御の時間的特性とその神経基盤を調べた。実験の結果、聴覚・発声問の誤差検出に基づく補正方向の発声巧応答から潜時の異なる3つの主成分が分離され、潜時約600msの主成分に吃音の有無による差をみとめた。その神経基盤として、右一次運動野、小脳、右下前頭回、被殻、島の関与が示された。
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