| 研究課題/領域番号 |
23700341
|
|---|
| 研究機関 | 慶應義塾大学 |
|---|
研究代表者 |
松浦 峻 慶應義塾大学, 理工学部, 助教 (70583368)
|
|---|
| キーワード | 主要点 / Principal points / 主成分分析 / クラスター分析 / 多変量解析 / 離散近似 |
|---|
| 研究概要 |
本年度は，多次元確率分布の主要点における主部分空間定理のより広い確率分布群への拡張および主要点の推定問題に取り組み，以下の成果を得た．
１，異なる楕円対称分布の混合分布の主要点における主部分空間定理の証明
昨年度までで示されていた異なる球面対称分布の位置混合分布の主要点における主部分空間定理を2個の主要点の場合について異なる楕円対称分布の混合分布に拡張した．具体的には，各楕円対称分布の平均ベクトルが張る線形部分空間と分散共分散行列の大きいほうの固有値に対応する固有ベクトルが張る線形部分空間が一致するとき，2個の主要点がその線形部分空間上に存在することを示した．この成果について，2012年9月に開催された「2012年度統計関連学会連合大会」にて研究発表を行った．また，論文としてまとめ，国際的学術雑誌に投稿中である．
２，確率分布のパラメータが未知な場合の無作為標本からの主要点の推定問題
多次元確率分布の主要点の無作為標本からの推定問題に関して，無情報事前分布を用いて主要点のベイズ推定を行う場合の有効性を調べ，従来のノンパラメトリックk-means法および最尤推定法と比較した．この成果について，2012年9月に開催された「2012年度統計関連学会連合大会」にて研究発表を行った．
さらに，多次元混合分布の主要点の推定において混合数が未知な場合に，情報量規準と無情報事前分布を基に主要点のベイズ推定を行う場合の有効性を調べた．この成果について，2012年12月に開催された国際会議「2012 International Conference on Advanced Computer Science and Information Systems」にて研究発表を行った．
|
| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書における本年度（平成24年度）での以下の取り組み課題：「課題(2)楕円対称分布の位置混合分布の主要点における主部分空間定理の証明」「課題(3)主要点における主部分空間定理が成立する確率分布の条件の導出」「課題(4)多次元確率分布の主要点の一意性，対称性に関する研究」のうち，課題(2)について成果があった．また，まだ発表にはいたっていないが，課題(2)の結果に付随して，課題(3)，課題(4)に関する成果が出そうな感触を得ている．さらに，翌年度（平成25年度）での取り組み課題：「課題(5)確率分布のパラメータが未知な場合の無作為標本からの主要点の推定問題」「課題(6)主要点の応用に関する研究」の課題(5)について成果があった．また，課題(6)についても取り組み始めており，全体としておおむね順調に研究が進展していると判断する．
|
| 今後の研究の推進方策 |
まず，「課題(3)主要点における主部分空間定理が成立する確率分布の条件の導出」「課題(4)多次元確率分布の主要点の一意性，対称性に関する研究」に取り組む．課題(3)に関連して，主部分空間定理が成り立たないときの主要点の配置の性質に関しても取り組む予定である．「課題(5)確率分布のパラメータが未知な場合の無作為標本からの主要点の推定問題」について引き続き推し進め，特に未知パラメータについて事前情報がある場合の推定精度について調べる予定である．また，「課題(6)主要点の応用に関する研究」については，品質管理問題，生物計測データへの応用に取り組み始めている．
|
| 次年度の研究費の使用計画 |
本年度は発表した国際会議の開催地が国内であったこともあり，約24万円の「次年度使用額」が生じた．次年度は1～2回の海外の国際会議への参加を予定しており，その旅費に充てる予定である．
また，その他，国内学会への旅費，論文別刷り代，数理統計学関連図書，情報処理消耗品などは研究の進行に不可欠であり，使用の予定である．
|
