南極観測隊の越冬中の健康管理の維持促進を目指し3年前にこのプロジェクトを開始した.観測隊員は越冬中とその期間の前後に健康診断を受けており,そのデータは過去50年にわたり紙ベースで蓄積されてきた.ただ今までそれらのデータは保存されてきただけであり,健康管理のために有効に利用されることはなたった.研究実施期間の3年間を通し,データの整備とそのデータ解析を主眼に進めてきたが,個人情報の保護の観点からデータの収集に予想以上の労力と時間がかかってしまった.ただ国立極地研究所の先生との議論を重ね,また関係部局の先生方の多大な御協力もあり,今年の4月には健康診断データ活用のためのガイドラインが提出され,本格的な有効利用の道が開けた.研究実施の最終年度においては個人情報保護の観点から実際の健診データの取り扱いについて議論し,その成果の一部を南極医学医療ワークショップにおいて発表した.また健診データの解析のための新たな統計的手法の開発にも着手し,統計学会においてポスター発表も行った.
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