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2011 年度 実施状況報告書

遺伝子機能の環境依存性に着目した代謝ネットワークのロバスト性機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23700353
研究機関立命館大学

研究代表者

遠里 由佳子  立命館大学, 生命科学部, 助教 (80346171)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード代謝 / 頑強性 / オミックスデータ解析 / 統計解析 / 大腸菌 / 線虫 / Phenotype MicroArray / 2D-DIGE
研究概要

本研究は、遺伝子機能の環境依存性に着目した代謝ネットワークの頑強性機構の解明を目的としており、第一に、代謝の頑強性の制御機構のオミックスデータ解析による解明をめざし、大腸菌の野生株と欠失株に対する遺伝型とPhenotype MicroArrayにより測定された表現型の比較を行っている。その成果は4月に書籍として出版することができた[1]。加えて、pgl-1欠失株に着目し、欠失株と野生株に対して、生育温度環境の違いに着目した2D-DIGEとLC-MS/MS、RT-PCRによる実験を行うことで、欠失株において、タンパク質やmRNAの発現量が大きく変動する遺伝子群を特定した[2, 3, 4]。また、構造の似た化合物を効率的に発見する問題を扱っており、化合物や酵素反応の類似性を定量的に判定するアルゴリズムを開発した[5, 6]。研究実績:[1] Y. Tohsato, et al., Springer, 2011, [2] Y. Tohsato, et al., J. Proteomics, 2012 [3] A. Terasawa, Y. Tohsato, et al., 18th International C. elegans Meeting, 2011, [4] Y. Tohsato, et al., 第34回日本分子生物学会年会, 2011, [5] 小原祥平,遠里由佳子,伊藤將弘, 情報処理学会研究報告, 2011-BIO-26(6), pp. 1-2, 2011, [6] 松田祥彦,伊藤將弘,遠里由佳子, 情報処理学会研究報告 2011-BIO-26(7), pp. 1-6, 2011).

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成23年度の課題である、(1) データベースの構築と公開は順調に行うことができた。しかし、提案したアルゴリズムのソフトウェア公開には至っていない。そこで今後は、提案したアルゴリズムをRソフトウェアのライブラリとして一般に提供していきたい。一方、(2) 表現型の特徴抽出の方法は、順調に進展している。ただし、多重統計解析は改善の余地がみられたため、当初計画をさらに拡張し、平成25年度にまわす形でその解析法の提案および評価を進める。主成分分析による特徴抽出については、当初計画したとおりの良い結果が得られつつあり、COG(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/COG/)による機能分類による評価と解析結果の整合性が取れた。しかし、それらの成果を公表するためには、対照実験と、さらに正確な評価方法の導入が必要と考えている。(3) 代謝の数理モデルの構築は、Chassagnole らによる解糖系モデルの再現することできた。加えて、Kadir らによるTCA回路を含めたモデルを取り入れ、さらなる改良を行っている。(4) 平成24年度に計画していた、代謝ネットワークのモジュール解析、特にNewman らが提案したアルゴリズムの適用を平成23年度に前倒しする形で進めたが、あまり良い結果を得ることができなかった。これについては次の「今後の研究の推進方針」に示した事項を検討することにより改善を試みる。

今後の研究の推進方策

2012年度は次の研究計画(1)~(3)を立てている。(1) 主成分分析、bi-clustering、および無関係モデル(Infinite Relationnal Model)を用いてデータの次元削除による解析方法の検証の向上をめざす。そして、クラスタリング結果を評価することにより手法の有効性を評価する。評価法として、定量的な方法と生物学的知見を使う2通りが考えられるが、まず定量的な方法として、ブートストラップ法や尤度による評価計算を導入する。また、生物学的知見からは、重複遺伝子間の欠失株が各手法の違いでどのようにクラスタリングされているか、を確認する。(2) 共同研究により大腸菌の野生株や一遺伝子欠失株に対する培地条件を変更されたときの細胞内分子濃度の変化を測定していただくことが可能になった。そこで、代謝の数理モデルの構築として、それらのデータを導入することで現在構築中の代謝モデルを改良する。さらには、遺伝子的アルゴリズムによりモデル中のパラメータの最適化を試みることで、モデルの完成をめざす。(3) 前年度に示したpgl-1に相互作用するタンパク質の可能性が高いと示された候補遺伝子に対し、抗体(western, 免疫染色、IP)やtransgenic lineを作成することで、pgl-1に直接結合しているのか、およびその局在を確認する。だたし、これまで他の研究者により作成された抗体K76とOIC1D4は既に免疫沈降実験に不向きなことが確認されているため、GFP抗体の作成が最も有望であると考えている。(4) Flux Balance Analysis での解析結果と構築したモデルによる解析結果、および前年度うまくいかなかったモジュール解析を相互に比較することで、モデルの検証を行う。

次年度の研究費の使用計画

(1) 論文の英文校正および投稿費(約30万)(2) 学会出張費および参加費(C. elegans meeting、GIW、分子生物学会、バイオ情報学研究会)(約40万)(3) パソコン一台 DELL Optiplex の購入費(約30万)が主な使用目的となる予定である。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Comparative proteomic analysis reveals differentially expressed proteins igrown at 20°C and 25°Cn Caenorhabditis elegans pgl-1 mutants2012

    • 著者名/発表者名
      Yukako Tohsato, Kanami Monobe, Kenji Suzuki, Toshiya Hayano
    • 雑誌名

      Journal of Proteomics

      巻: 印刷中(掲載確定) ページ: 印刷中(掲載確定)

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 相互情報量とSVMを用いた酵素反応におけるEC番号の推定法の開発2012

    • 著者名/発表者名
      松田祥彦, 伊藤將弘, 遠里由佳子
    • 雑誌名

      立命館大学理工学研究所紀要

      巻: 70 ページ: 21-28

  • [雑誌論文] 線虫Caenorhabditis elegansの発生ステージにおける定量プロテオーム解析2012

    • 著者名/発表者名
      物部香奈美, 遠里由佳子, 早野俊哉, 伊藤將弘
    • 雑誌名

      立命館大学理工学研究所紀要

      巻: 70 ページ: 13-20

  • [雑誌論文] 機械学習によるEP2受容体を標的とした化合物の探索手法の開発2011

    • 著者名/発表者名
      小原祥平, 遠里由佳子, 伊藤將弘
    • 雑誌名

      情報処理学会研究報告

      巻: 8 ページ: 1-2

  • [雑誌論文] 相互情報量とSVMを用いた酵素反応におけるEC番号の推定手法の開発2011

    • 著者名/発表者名
      松田祥彦, 伊藤將弘, 遠里由佳子
    • 雑誌名

      情報処理学会研究報告

      巻: 7 ページ: 1-6

  • [学会発表] 遺伝子の環境依存性に着目したPhenotype MicroArray 解析2012

    • 著者名/発表者名
      遠里由佳子
    • 学会等名
      第3回BKCバイオインフォマティクス研究会(招待講演)
    • 発表場所
      立命館大学(滋賀県)
    • 年月日
      2012 – 0321
  • [学会発表] 代謝ネットワークの頑強性に着目した数理解析2012

    • 著者名/発表者名
      遠里由佳子
    • 学会等名
      電子情報通信学会2012年総合大会(招待講演)
    • 発表場所
      岡山大学(岡山県)
    • 年月日
      2012 – 0320
  • [学会発表] Proteomic Analysis of C. elegans Mutants2011

    • 著者名/発表者名
      Y. Tohsato, et al.
    • 学会等名
      第34回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(神奈川都)
    • 年月日
      2011 – 1213
  • [学会発表] Quantitative Proteomic Analysis of C. briggsae2011

    • 著者名/発表者名
      A. Terasawa, Y. Tohsato, et al.
    • 学会等名
      18th International C. elegans Meeting
    • 発表場所
      America/University of California (Los Angeles)
    • 年月日
      2011 – 0622
  • [学会発表] Quantitative Proteomic Analysis in C. elegans2011

    • 著者名/発表者名
      K. Monobe, Y. Ishido, Y. Tohsato, et al.
    • 学会等名
      18th International C. elegans Meeting
    • 発表場所
      America/University of California (Los Angeles)
    • 年月日
      2011 – 0622
  • [図書] Springer2011

    • 著者名/発表者名
      Y. Tohsato, et al.
    • 総ページ数
      289-306
    • 出版者
      Towards elucidation of the E. coli unknowneome

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公開日: 2013-07-10  

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