研究概要 |
H23年度は、RNAを表現する粗視化モデルの構築を行った。具体的には、球間の距離・角度・ねじれ角を拘束するばね、静電相互作用、vdW相互作用に関するパラメーターの最適化を行い、一定の成果を上げた。この内容で、論文を投稿する予定であったが、他研究者によるRNA立体構造予測を行う研究がいくつか発表されたため、(例:Irina Tuszynska and Janusz M Bujnicki; 2011, BMC Bioinfo)、H24年度では、現在のモデルの性能をさらに向上させてから発表をすることにした。具体的には、当初の予定よりもさらに多数のRNAに対して(100個程度)予測を行い成功させることを目標とした。そのために、H23年度とは異なったアプローチで粗視化モデルの最適化を行った。具体的には、PDBに登録されているRNA立体構造を多数集め、統計データベースを作成し、そこから結合長などの平均値・分散を抽出し、モデル構築を試みた。さらに、世界一の予測精度を持つRNA二次構造予測ソフトCentroidFold(東大・浜田道昭准教授・浅井潔教授)で用いられている、塩基対形成確率モデル(ContraFoldなど)を相互作用エネルギーとしてモデルに取り込み、立体構造予測を行った。新モデルは一定の成果は上げてはいるが、多数(~100個)のRNAに対して成功するレベルまでは到達していないため、現在改良を続けている。 また、モデル作成の過程で、塩基対ペア形成確率の値が低ければ、そのRNA塩基が他の分子(蛋白質)と相互作用している場合が多いことを発見した。つまり、ContraFoldなどの塩基対形成確率モデルは、RNA単体の構造予測のみならず、RNA-蛋白質複合体の構造予測にも用いることができることを示した。本内容に関して論文を執筆し、現在投稿中である。
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