本研究の目的は、これまで未整理であった脳の疾患によって運動失調が表れる計算論的メカニズムを、確率最適制御理論を用いた枠組みによって、統一的に理解することを目的とする。計算論的モデルでは、運動学習が最適化の過程であるという考えから、確率微分方程式で表現される身体ダイナミックスに対する最適推定機構と最適制御機構の組み合わせとして、定式化し、これまでに取得された運動学習実験との整合性を議論した。このモデルを確認するために運動学習実験を行い、内部モデルは脳内で確率的に表現されていることが明らかになった。また、脊髄小脳変性症に対する実験で、小脳と感覚予測との関係が明らかになった。
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