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2011 年度 実施状況報告書

神経回路形成における標的細胞認識と細胞部位特異性を担う分子機構

研究課題

研究課題/領域番号 23700364
研究機関独立行政法人国立精神・神経医療研究センター

研究代表者

須藤 文和  独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所 微細構造研究部, 室長 (40345848)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワード神経科学 / 神経回路 / 分子 / 発生・再生 / 神経発生 / 軸索誘導 / プレキシン / セマフォリン
研究概要

中枢神経の神経接続の特色として、ある神経核由来の軸索はその由来に依存して標的細胞と特異的に接続することや、入力軸索が標的神経細胞の限られた細胞部位と接続すること(細胞部位特異性)が挙げられる。これらの接続様式を制御するメカニズムを分子レベルで明らかにするために、扁桃体神経核と分界条床核との連絡、また、小脳バスケット細胞軸索のプルキンエ細胞への接続をモデル系とし、軸索誘導分子セマフォリンとその受容体プレキシンに着目して研究を行った。 扁桃体は複数の神経核からなる神経核複合体であり、分界条床核と連絡する。扁桃体由来の軸索は、由来する神経核に依存して分界条床核内の亜領域と選択的な接続をする。本年度は、セマフォリンを特異的に認識する抗体を作製し、この抗体と抗プレキシン抗体を用いて組織学的な解析を行い、回路形成期における分子分布を明らかにした。また、プレキシンノックアウトマウスを用いた組織学的解析により、ノックアウトマウスでは扁桃体―分界条床核の接続に異常が生じていることを明らかにした。 小脳バスケット細胞はプルキンエ細胞の軸索起始部と部位特異的に接続する。小脳神経回路形成期において、プレキシン分子の分布様式を解析したところ、この分子は主にバスケット細胞で発現し、移動期より発現が認められ、シナプス形成期ではシナプス形成部位の軸索に分布することを明らかにした。一方、セマフォリン分子は、プレキシン分子と相補的に分布していた。これらの結果は、セマフォリンの軸索反撥シグナルにより、バスケット細胞軸索の細胞部位特異的な接続が制御されていることを示唆している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究は、生体内での神経回路形成メカニズムを分子レベルで明らかにすることを目的としてる。そのために、生体内での分子分布様式に必要な特異的抗体を作製でき、かつ、分子分布様式を明らかにできた事は大きな成果であり、当初予定していた計画に沿っている。この抗体を用いた解析により、当初予想していなかった分子分布様式が発見でき、分子メカニズムの理解に繋げる事が可能になっている。異動に伴い、当初予定していなかった、マウス系統の新施設へ導入が生じたが、この影響を最小限にとどめるよう工夫した。

今後の研究の推進方策

ノックアウトマウスを用いた解析により、回路形成における分子の役割を明らかにするとともに、培養系を用いた還元系において、分子機能を明らかにする。また、個体レベルでの異所的遺伝子発現を行い、予想している分子モデルの整合性を検証する。研究に必要な試料、マウス系統、遺伝子材料はそろってきており、順調に進められると考えている。また、研究員を1名参画させる事で、研究進展を加速させる。

次年度の研究費の使用計画

本研究は、遺伝子組換え、タンパク質精製、細胞培養、組織学的解析を必要としているために、分子生物学解析試薬、抗体、血清、プラスチック器機の購入のため、物品費を主体とする。また、研究進展のための情報収集(研究打ち合わせ、学会参加)や研究成果発表のための学会参加に伴う経費として、旅費を計上する。さらに、研究成果を世界に発信するための論文投稿にかかる費用を、「その他」に計上する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 軸索分子受容体による扁桃体神経回路形成の制御

    • 著者名/発表者名
      須藤文和、大隅典子、一戸紀孝
    • 学会等名
      第34回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      横浜、パシフィコ横浜
    • 年月日
      平成23年12月13日

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公開日: 2013-07-10  

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