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2011 年度 実施状況報告書

神経突起伸長オーガナイザーとしてのホスファチジルエタノールアミンの役割

研究課題

研究課題/領域番号 23700365
研究機関筑波大学

研究代表者

長谷川 潤  筑波大学, 医学医療系, 助教 (10332230)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワード神経細胞 / ホスファチジルエタノールアミン
研究概要

本研究では、細胞膜構成リン脂質の一種であるホスファチジルエタノールアミン(PE)が持つ神経細胞形態形成における役割の解明を目的とした。発生期神経細胞の神経突起先端部(成長円錐)において、PEはフリップ・フロップ現象を介して神経突起の伸長を制御しているという仮説のもと、今年度は、成長円錐におけるPEのフリップ・フロップを担うと考えられるIV型ATPaseおよびその補因子であるcdc50因子の同定を試みた。神経突起を伸長させている神経細胞に発現するIV型ATPaseおよびcdc50因子をRT-PCR法を用いてスクリーニングした後、発現が確認された遺伝子をそれぞれ神経細胞に過剰発現させ、発現蛋白質が成長円錐に局在するかを検討した。その結果、特定のIV型ATPaseがcdc50Aおよびcdc50Bと共に成長円錐に局在することが分かった。また、これらの蛋白質の過剰発現により神経突起の伸長が促進されることが分かった。逆に、これらの蛋白質の発現をsiRNAを用いて抑制したところ、神経突起の伸長が抑制された。これらのことから、IV型ATPaseを介したPEのフリップ・フロップは、神経細胞の形態制御に重要な役割を果たしていると考えられた。本結果は、神経突起伸長の全く新しいメカニズムを提唱しているだけでなく、これまで生理的意義が良く分かっていなかったPEのフリップ・フロップ現象が、神経細胞の形態制御という重要な生理的意義を持つことを示している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

交付申請書に記した本年度の研究計画1、研究計画2に関してはほぼ予定通りの進捗が得られている。研究計画3に関しては、マウス胎児脳への遺伝子導入を電気穿孔法により検討しており、当初の計画とは手法が異なるが、同意義同程度の成果を得られていると考えている。

今後の研究の推進方策

当初の計画通り平成24年度は、下記2点を明らかにする。1、PEのフリップ・フロップ現象がどのような分子メカニズムにより神経突起の伸長を制御しているのかを明らかにする。特に、細胞骨格系調節シグナルと細胞内膜輸送系への影響を検討する。2、IV型ATPaseおよびcdc50因子の、個体レベルにおける機能を解析する。マウス胎児脳への電気穿孔法もしくはレンチウイルスベクターを用いた感染により、IV型ATPaseおよびcdc50因子蛋白質の過剰発現、変異体発現もしくはノックダウンを行い、神経細胞の形態にどのような異常が見られるのかを検討する。

次年度の研究費の使用計画

本年度と同様、物品費(実験用消耗品費)を中心に、一部は人件費・謝金として使用することを計画している。また、学会参加のための旅費を支出することを計画している。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (6件)

  • [雑誌論文] Phosphatidylinositol 4-phosphate 5-kinase is indispensable for mouse spermatogenesis2012

    • 著者名/発表者名
      Hiroshi Hasegawa, Junko Noguchi Misuzu Yamashita, Risa Okada, Rika Sugimoto, Momoko Furuya, Takamitsu Unoki, Yuji Funakoshi, Tadashi Baba, Yasunori Kanaho
    • 雑誌名

      Biology of Reproduction

      巻: 86巻 ページ: 1-12

    • DOI

      DOI:10.1095/biolreprod.110.089896

    • 査読あり
  • [雑誌論文] NMDA receptor-mediated PIP5K activation to produce PI(4,5)P2 is essential for AMPA receptor endocytosis during LTD2012

    • 著者名/発表者名
      Unoki Takamitsu, Shinji Matsuda, Wataru Kakegawa, Ngo Thai Bich Van, Kazuhisa Kohda, Atsushi Suzuki, Yuji Funakoshi, Hiroshi Hasegawa, Michisuke Yuzaki, Yasunori Kanaho
    • 雑誌名

      Neuron

      巻: 73巻 ページ: 135-148

    • DOI

      DOI:10.1016/j.neuron.2011.09.034

    • 査読あり
  • [学会発表] NMDA受容体により誘導される長期抑圧において、PI(4,5)P2産生酵素PIP5KはAMPA受容体のエンドサイトーシスに重要である2011

    • 著者名/発表者名
      長谷川 潤
    • 学会等名
      第54回 日本神経化学会大会
    • 発表場所
      瑠璃光(加賀市)
    • 年月日
      2011年9月28日
  • [学会発表] Phospholipase D (PLD)は腫瘍形成を抑制する2011

    • 著者名/発表者名
      佐藤 隆信
    • 学会等名
      第84回 日本生化学会大会
    • 発表場所
      国立京都国際会館(京都市)
    • 年月日
      2011年9月24日
  • [学会発表] 精子の形態維持におけるホスファチジルイノシトール 4-リン酸 5-キナーゼAの役割2011

    • 著者名/発表者名
      岡田 理沙
    • 学会等名
      第84回 日本生化学会大会
    • 発表場所
      国立京都国際会館(京都市)
    • 年月日
      2011年9月24日
  • [学会発表] フィブロネクチンによるArf6活性化はArl4低分子量G蛋白質を必要とする2011

    • 著者名/発表者名
      長谷川 潤
    • 学会等名
      第84回 日本生化学会大会
    • 発表場所
      国立京都国際会館(京都市)
    • 年月日
      2011年9月24日
  • [学会発表] Phospholipase DではなくProtein kinase Cが好中球での活性酸素産生および酵素放出に不可欠である2011

    • 著者名/発表者名
      佐藤 隆信
    • 学会等名
      第63回 日本細胞生物学会大会
    • 発表場所
      北海道大学(札幌市)
    • 年月日
      2011年6月28日
  • [学会発表] Small G protein Arf6 is involved in lung homeostasis by regulating alveolar epithelial type II cell function2011

    • 著者名/発表者名
      木下 雅美
    • 学会等名
      第63回 日本細胞生物学会大会
    • 発表場所
      北海道大学(札幌市)
    • 年月日
      2011年6月28日

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公開日: 2013-07-10  

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