研究課題/領域番号 |
23700366
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
柴崎 貢志 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (20399554)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 軸索伸長 / メカノセンサー / TRPV2 / 軸索再生 |
研究概要 |
TRPV2-floxマウスをEIIa-Cre Tgマウスと交配し、TRPV2をノックアウトした個体を作出した。これらのヘテロマウスの雄と雌を交配し、WTとTRPV2KO(ホモ)胎仔を得、解剖学的な解析を試みたが、ほとんどホモマウスが得られない問題が生じた(何故かは不明であるが、ごく希に少数のホモマウスのみが得られる)。昨年、米国のグループが申請者と類似のマウスを作製した結果を論文報告しているが、この論文においてもほとんどのホモマウスがlethalityを示すことが報告された(J. Neurosci. 31:11425-36, 2011)。彼らも、何故かは不明であるがごく一部のホモマウスだけが生き残ること、それらのホモマウスでは行動異常を示さないことを報告している。このTRPV2KOマウスの脊髄運動神経、DRG感覚神経細胞の軸索伸長、あるいは投射異常を組織・解剖学的に解析したところ、部分的ではあるが軸索投射異常や細胞移動に異常があることを見いだした。しかしながら、上記のように解析に用いているTRPV2KOマウスはlethalityをかいくぐって生き残った個体であり(何故生き残るのかは原因不明)、lethalityにより死んでしまったTRPV2KOマウスではもっと激しい異常を伴っていた可能性が非常に高い。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の実験計画に沿った遺伝子改変作製マウスの作製・解析が出来ており、その交配上野問題点も明らかに出来た。本年度はその問題点を回避するための解析が行える状態となっており、これらの点からも実験計画に従って順調に研究が進んでいるといえる。
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今後の研究の推進方策 |
研究実績の概要で述べたlethalityを回避するために神経系特異的にTRPV2KOする目的でNestin-Cre TgマウスとTRPV2-floxマウスの交配を計画した。まず、TRPV2が脊髄運動神経とDRG感覚神経に発現を開始する胎生10日目でNestinプロモーター制御下にCreを発現するのかをNestin-Cre TgマウスとRosa26-LacZマウスを交配して調べたところ、残念ながらCreの発現が胎生12日目からと目的よりも2日遅れて開始してしまい、実験目的に合わないことが判明した。 同じ手法で、脊髄運動神経とDRG感覚神経特異的にTRPV2KOが可能なIslet1-CreマウスのCre発現が胎生10日目で認められるのかを調べたところ、Islet1-Creマウスは実験目的に合う(胎生9日目頃よりCre発現を開始する)ことを見出した。そして、Islet1-CreマウスとTRPV2-floxマウスを交配することで、TRPV2全身KOで認められたlethalityを回避したマウス胎仔サンプルの調整(WTとTRPV2CKO)に成功した。 今後、その解剖学的・生理学的解析を行うことで、メカノセンサー・TRPV2が神経回路形成に及ぼす影響を明らかに出来、その知見を応用した軸索再生研究への展開が強く見込まれる。
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次年度の研究費の使用計画 |
多くの遺伝子改変動物を用いるため、その飼育と遺伝子診断業務のために技術補助員1名を雇用する。この他、組織学解析に用いる抗体等の実験試薬購入、学会発表のための旅費、成果を論文発表する際の英文校正費用や投稿・掲載料に研究費を用いる計画である。
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