研究課題
若手研究(B)
TRPV2は1999年に52℃以上の侵害熱刺激を感知する熱センサーとしてクローニングされた。ところが、脊髄及びDRGにおけるこのチャネルの発現時期を調べると、未成熟な神経細胞の出現にあわせて胎生期において既に発現を開始していた。子宮内の胎仔が52℃以上の侵害熱刺激に遭遇する機会はないため、熱刺激以外のTRPV2リガンドが存在し、発達期には熱センサーとは全く異なる役割を持つと考えた。そして、解析を進めていくと、胎仔期のTRPV2は脊髄運動神経・DRG感覚神経が、末梢(皮膚・筋肉など)に向けて非常に長い軸索を伸長している時に細胞膜にかかる膜伸展刺激で活性化し、軸索伸長を促進させていることを突き止めた(Shibasakietal.,J.Neurosci.2010)。さらに、TRPV2がどの程度微弱な機械刺激を受容可能であるのかを検証したところ、TRPV2は現在実験室でアプライし得る最も小さな機械刺激でも活性化することが判明した。また、腸管神経節の抑制性運動神経にもTRPV2が発現し、TRPV2をメカノセンサーとして用いることで蠕動運動を制御していた。我々の体には成長に応じてあらゆる細胞に対して伸展張力が働き、これを軸索が感じ取り、自分の体のサイズに合わせて神経回路の長さをチューニングしている。これらの結果より、TRPV2は受動的軸索伸長に関わる有力なメカノセンサーであると考えられる。
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http://www.nips.ac.jp/cs/sibaHP/shibasaki.html