研究概要 |
本年度には我々はまず7匹のネコを使って心理物理実験を行った。繰り返し周波数200 Hz のクリック音で刺激する場合に、ネコは舌を出して給餌のチュウブを舐めるとその中から餌が出てくる。逆に12.5Hzのクリック音が出ると舐めても報酬がない。このような訓練は3,000-5,000回を経たあとにネコは200Hz 音を聞くとチュウブを舐める(Go反応)、12.5Hz音を聞くと舐めない(No-Go反応)ような行動反応が養成した。このあとに、12.5,16.7,25,50,100と200Hzのクリック音をランダムに提示してネコのクリック音弁別能力を調べた。結局、ネコは25Hz以下のクリック音に対してGo反応、50Hz以上のクリック音に対してNo-Go反応を示す割合が高かった。だから、ネコは25Hz以下と50Hz以上のクリック音を違うカテゴリの音に聞き取れることが分かった。次には、以上の行動反応の神経機構を解明するために、我々はネコの大脳一次聴覚野に慢性記録微小電極を埋め込んで神経細胞の反応を記録した。Spike metric distance 解析を行って神経細胞の発火活動に含む情報からネコの行動反応を説明できるかを調べた。神経細胞の発火時間(spike time)と発火頻度(firing rate)にも音刺激の情報をコーディングできるが、発火時間によりクリック音の弁別能力ははるかにネコの心理弁別能力より高い;一方、発火頻度に基づく神経弁別能力は心理弁別能力とよく合致する。従って、脳の高次領野は一次聴覚野神経細胞の発火頻度を読み出して実際の弁別行動を行うことを示唆されました。これらの結果は既に一枚の論文にまとめてPLoS.Oneに出版されました(PLoS One. 2011;6(10):e25895. Epub 2011 Oct 5)。
|