研究課題/領域番号 |
23700386
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
吉原 誠一 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (90360669)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 嗅球 / 介在ニューロン / 神経新生 / 樹状突起 / 神経活動依存的 |
研究概要 |
嗅球介在ニューロンは成体においても新生され新たな神経回路を形成し続けるという興味深い特徴をもったニューロンである。この嗅球介在ニューロンの神経回路形成には匂い刺激による神経活動が必要であることが知られているが、その分子メカニズムは明らかになっていない。本研究では匂い刺激による神経活動によって発現が誘導される遺伝子の嗅球介在ニューロンの発達における機能解析を行うことで、神経活動依存的な回路形成機構の解明を目的とする。ロイシンリッチリピートをもった膜たんぱく質である5T4分子は特定の種類の嗅球介在ニューロンにおいて神経活動依存的に発現していることが明らかになった。レンチウイルスベクターを用いた5T4分子の強制発現実験および5T4ノックアウトマウスの解析から、5T4分子は神経活動依存的に嗅球介在ニューロンの樹状突起の枝分かれを制御していることが明らかになった。本研究の成果はJournal of Neuroscience誌の2012年2月8日号に掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は膜たんぱく質5T4の嗅球介在ニューロンの発達における機能解析の論文をJournal of Neuroscience誌に掲載することができた。その研究成果についてプレスリリースを行い、朝日新聞や毎日新聞などに記事として掲載された。これらのことから当初の研究計画が順調に進み、研究成果を公表できたことは十分満足できると思われる。また、次の論文への投稿するための研究成果も着実に上がっており、近くに論文投稿をする予定である。
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今後の研究の推進方策 |
前年度に引き続き、匂い刺激による神経活動によって発現が誘導される遺伝子の嗅球介在ニューロンの発達における機能解析を行うことで、神経活動依存的な回路形成機構の解明を目指す実験を行う。その中でも転写因子であるNpas4分子は嗅球介在ニューロンにおいて神経活動依存的に発現が誘導される遺伝子であることを見出しており、嗅球介在ニューロンの発達におけるNpas4分子の機能解析を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究費としては、嗅球介在ニューロンの発達を解析するためのin situ hybridizationや免疫組織染色のために必要な試薬購入費に使う予定である。また、レンチウイルスベクターをマウスに感染させる系を用いて、遺伝子の機能解析実験を行っているが、感染させる実験用マウスの 購入費にもあてる予定である。
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