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2011 年度 実施状況報告書

シナプス可変性制御機構の分子・細胞生物学的解析

研究課題

研究課題/領域番号 23700395
研究機関国立遺伝学研究所

研究代表者

来栖 光彦  国立遺伝学研究所, 構造遺伝学研究センター, 助教 (50413985)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワードFGF / シナプス / 神経筋接合部 / ショウジョウバエ / 神経
研究概要

シナプス形成のメカニズムを明らかにするために、ショウジョウバエ神経筋接合部の形成に関与する細胞表面タンパク質を複数同定したが、そのなかでもFGF分子の機能解析が大きく進展した。 ショウジョウバエのFGFシグナルにはBranchless-Breathless経路、Thisbe/Pyramus-Heartless (Ths/Pyr-Htl)経路が知られている。このうち神経筋接合部の形成には、Ths/Pyr-Htl経路が重要な役割を担うことが我々の解析によって明らかとなった。in situ hybridizationを用いた発現パターンの解析から、リガンドとなるThsとPyrが神経細胞と筋肉の両方で発現することを明らかにした。一方、Htl受容体は、抗体を利用したイメージング解析から筋肉のポストシナプス辺縁部に集積することを明らかにした。 Htl受容体の特異的RNAi変異体の解析から、Htlは、シナプス終末部(bouton)の正常な形成、細胞骨格タンパク・スペクトリンの発現、PSDタンパクであるDiscs large 1の発現に必要であることが明らかとなった。さらに、RNAiによる機能喪失と構成的活性化受容体による機能獲得実験から、Htl受容体がグルタミン酸受容体(GluRIIA)の集積を制御することが明らかとなった。これらの発見から、FGFシグナルは、ショウジョウバエ神経筋接合部においてポストシナプスの形成に重要な役割を持つことが示された。 これまでの報告によると、哺乳類のFGFシグナルは、逆行性シグナルとしてプレシナプスの分化を誘導することが知られていたが、ポストシナプスの形成過程に関わることは示されていなかった。私達の研究成果はシナプス形成におけるFGF分子の役割を理解する上で議論されていなかった新たなポストシナプスにおける役割を提案している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

FGF以外のタンパク質の解析においては、目立った成果を得ることができなかった。しかしながら、FGFの機能解析では、大きな進展があり、これまで報告されていない機能を明らかにすることができた。とりわけ、細胞骨格系の制御とグルタミン酸受容体の制御に関する重要な知見を得ることができた。

今後の研究の推進方策

FGFシグナルが順行性シグナルとして働いているのか、ポストシナプスからの自己分泌性シグナルとして働いているのか依然として不明である。レスキュー実験によって明らかにする予定である。さらに、どのような細胞内シグナル分子を介して細胞骨格やグルタミン酸受容体を制御するのかについて遺伝学的に探索する予定である。また、ショウジョウバエ脳シナプスにおけるFGFシグナルの役割も探索する。

次年度の研究費の使用計画

研究遂行に不可欠な実験補助員の謝金、及び、分子生物学実験の経費、ショウジョウバエ維持費に使用する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2011

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Intrinsic control of spatiotemporal change in N-cadherin expression during neuronal maturation2011

    • 著者名/発表者名
      来栖光彦
    • 学会等名
      日本神経科学学会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜
    • 年月日
      2011年9月15日

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公開日: 2013-07-10  

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