FGFシグナルは、逆行性シグナルとしてプレシナプスの分化を誘導することが哺乳類神経系において知られていたが、ポストシナプスにおける役割は明らかにされていなかった。本研究では、ショウジョウバエ神経筋接合部を実験モデルに利用することによって、(1)FGFリガンドPyrとThsが神経筋接合部で発現すること、FGF受容体Htlがグルタミン酸受容体IIサブユニット(GluRIIA)の近傍に局在することを、(2)FGFシグナルがシナプスブートンの数を正に制御すること、(3) FGFシグナルがGluRIIAのシナプスにおける局在を正に制御すること、(4)FGFシグナルがGluRIIサブユニットの転写量を正に制御することを明らかにした。以上の結果は、ショウジョウバエFGFシグナルが神経筋接合部の発達過程において、ポストシナプスのGluRIIサブユニットの発現を制御していることを示唆している。この研究成果は、シナプス形成におけるFGF分子の役割を理解する上で議論されていなかった新たなポストシナプスにおける役割を提案している。
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