研究課題
精神疾患関連遺伝子DISC1はこれまで神経細胞の増殖や分化に関係することがわかっている。精神疾患患者の死後脳の解析より神経細胞だけでなくオリゴデンドロサイトをはじめとするグリア細胞の異常も報告されている。我々はDISC1が神経細胞だけでなくオリゴデンドロサイトでも機能しているかどうかを検討し、以下の結果を得た。①DISC1はマウス脳のオリゴデンドロサイトに発現し、特にオリゴデンドロサイトの前駆細胞で発現が高い。②DISC1の発現をsiRNAにより抑制すると培養オリゴデンドロサイトの分化は更新した。③アデノウィルスを用いてDISC1を過剰発現させると培養オリゴデンドロサイトの分化は抑制された。④DISC1の下流でオリゴデンドロサイトの分化を制御する転写因子はNkx2.2とSox10であることがわかった。以上の結果より、DISC1はSox10,Nkx2.2の発現量を制御することによりオリゴデンドロサイトの分化を負に制御していることが明らかとなった。このことより、統合失調症をはじめとする精神疾患の病態の一部にはオリゴデンドロサイトの発達異常があることが示唆された。今後、DISC1遺伝子の異常が生体のオリゴデンドロサイトにどのような異常を引き起こすのか、また、その異常はどのような行動以上を引き起こすのか、更には、Sox10やNkx2.2以外のDISC1の下流で働く因子を明らかにしていきたい。
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