前年度に作成した糖タンパク質欠損狂犬病ウイルスを用いて、大脳新皮質2/3層錐体細胞に直接シナプス結合するシナプス前細胞の可視化を行った。エレクトロポレーション法によってプラスミドを2/3層錐体細胞へ導入されたマウスにシュードタイプされた糖タンパク質欠損狂犬病ウイルスを注入した結果、2/3層錐体細胞は、4層神経細胞および5層神経細胞からおもなシナプス入力を受けている事が明らかになった。さらに、神経細胞形態をゴルジ染色様に可視化できる本ウイルスベクターの特性を活かし、細胞形態の詳細な解析を行った。 また、単一細胞へのプラスミド導入効率を向上させるべく、より精密なピペット操作ができるin vivo manipulatorを購入し、組織への障害が少なく、効率のよい条件を検討した。 研究期間全体で、ヒトワクチン株に基づく糖タンパク質欠損狂犬病ウイルスを作成し、それに最適化された越シナプストレース法を開発した。そしてそのトレース法を用い大脳新皮質2/3層錐体細胞に直接シナプス結合するシナプス前細胞の分布様式を解析した。
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