研究課題
本研究はNecdin-Sirt1複合体による代謝関連因子のアセチル化修飾の調節と、プラダー・ウィリー症候群(PWS)をはじめとする肥満や摂食障害におけるエネルギー代謝異常との相関に迫るものである。平成23年度においては、Sirt1の基質であるフォークヘッド型転写因子Foxo1に着目し解析を行った。その結果、視床下部に存在するNecdinは、Foxo1のアセチル化に対し、Sirt1を介して脱アセチル化し、視床下部-下垂体-甲状腺経路を介した熱産生を調節している事を見いだした。また、この際、エネルギー代謝に係る行動学的解析を行うに当たり、代謝測定に優れた研究者の協力のもと、運動量や呼吸量の測定を行う事が出来、論文取り纏めに重要な情報を得る事が出来た。この研究成果は、平成24年4月にJournal of Neuroscience誌に受理された。平成24年度においては、ミトコンドリアを介したエネルギー代謝の中核をなすPGC-1αに焦点を当て、Necdin-Sirt1複合体による調節機構について、主に、分子レベルの解析を行った。PGC-1αはSirt1による脱アセチル化を受けて、転写を補助的に活性化させるが、現在のところ、PGC-1αのアセチル化状態を検出する実験系の構築に至らなかった。しかし、NecdinがPGC-1αの発現量を増大させる現象を見いだし、現在この分子メカニズムに関して引き続き検討中である。また、Necdinが調節する新規代謝関連因子の探索として、Necdin欠損マウスを用いたDNAマイクロアレイによる解析を行い、Necdinの標的因子のスクリーニングを行った。この結果、いくつかの細胞内代謝に関わる因子の発見に至り、Necdinが関与する新たなエネルギー代謝調節機構の解析につなげる事が出来た。
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The Journal of Neuroscience
巻: Vol. 32 ページ: 5562-5572
10.1523/JNEUROSCI.0142-12.2012.
http://www.protein.osaka-u.ac.jp/regulation/index_jap.html