研究課題
本研究により同定したオレキシン転写制御因子候補c111の機能解析を継続した。1)昨年度のレポターアッセイにおいてプロモター領域の欠損変異体は欠損により本来ありえない配列を作り出してしまうため間違った結果を導く可能性が考えられた。そこでc111結合部位特異的に変異を導入し検討した。結果、9bpのc111コンセンサス配列のうち4番目から6番目の配列を別の塩基に置換することにより転写活性の変化が観察された。2)子宮内電気穿孔法による胎生11日目の第3脳室へのインジェクションにより視床下部へのc111強制発現を試みたが、現在の所成功していない。異所性発現による効果を検討する意味で胎生13日目の側脳室へのインジェクションを行い、大脳皮質でのc111発現を確認した。しかしながら、この際の大脳皮質でのオレキシン発現は確認できていない。3)成獣マウスにおけるc111発現を検討し、オレキシン神経細胞に共存していることを確認した。視床下部においては弓状核においてもc111は発現していた。そこで、睡眠覚醒への関与と摂食への関与を検討したが、それらの条件によるc111陽性細胞数の変化や細胞内局在は観察されていない。4)今回同定したc111およびそのスーパーファミリー、ならびにその他の制御候補に関してオレキシンが原因となるナルコレプシーへの関与を検討した。GWASにより遺伝子領域±200KB内のSNPを検討した。一番低いP値が1E-03オーダーで、遺伝子領域内のSNPも存在したが強い関連とは言えず、ナルコレプシーの原因にはオレキシンの転写制御異常が関与することを肯定する結果は得られなかった。今後、c111ノックアウトを作成し、実際にオレキシン細胞数または転写量が変化していることを確認する必要がある。
すべて 2013
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J Autoimmun.
巻: 45 ページ: 24-30
10.1016/j.jaut.2013.06.010.