研究課題/領域番号 |
23700463
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
篠田 友靖 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (80505652)
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キーワード | 神経発生 |
研究概要 |
生物における神経組織構築においては、1)神経細胞の分化、2)個々の神経細胞の適切な領域への分布、3)神経細胞同士もしくは神経-投射先組織間での適切なシナプス形成が必須となる。本研究では精神神経疾患との関連が遺伝学的に示唆されているタンパクであるSeptinファミリー分子(Sept1~Sept14)に着目し、その分子機能および作用機序の解析を行う。これまでに研究代表者らは特定のSeptinファミリー分子、Sept4とSept14が大脳皮質興奮性神経細胞の遊走過程に機能的に関与することを明らかにしている(Shinoda et al, 2010)。また予備的な結果として、F-actin結合タンパクであるDrebrin-1およびCofilin-1をそれぞれSept4およびSept14の相互作用候補分子として見出している。平成23年度には、大腸菌組み換え体タンパクを用いた結合実験で、これら候補分子と各septin分子の相互作用を検討した。その結果、Drebrin-1のADF motifがSept4と直接結合することを見出した。またCofilin-1がSept14と直接結合することも確認できた。この結果はSept4-Sept14複合体が異なるF-actin結合タンパク間の分子足場として機能する可能性を世界に先駆けて示唆している。がまたADF-motifはF-actinとの結合に関わる領域であり、またCofilin-1の全長と高い相同性を持つ。このことからF-actin結合タンパクとSeptinの結合により、そのF-actinへの結合親和性に何らかの影響を及ぼすという作業仮説のもと、検証実験を行っている。またSept4およびSept14の結合分子の網羅的生化学スクリーニングも実施し、複数の有力な候補分子を見出している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新たな所属機関での研究は順調に進行しており問題は無い。また新規の細胞観察機材によってデータのクオリティが著しく上昇したため、細胞運動に関する全く新規の現象を見出しており、こちらも鋭意解析中である。
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今後の研究の推進方策 |
各Septin分子とその相互作用分子(Drebrin-1, Cofilin-1)の結合が、その分子機能にいかなる意義を持つのかを検証する。またスクリーニングで見出された新規のSeptin結合分子群が大脳皮質発生においていかなる機能を持ちうるかを検証する。また神経疾患関連の別のseptinファミリー分子についても相互作用分子スクリーニングを実施し、新規結合分子を見出しつつある。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究費の年度別使用予定内訳に基づき適正に使用予定である。
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