研究課題/領域番号 |
23700466
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
高橋 真有 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (50581344)
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キーワード | 眼球運動 / 上丘 / 小脳 / 脳幹 / 神経生理 |
研究概要 |
平成23年度に、室頂核の眼球運動関連領域への入力を神経解剖学的方法を用いて解析を行い、主に上丘からの入力に関してまとめた。24年度は引き続き、その解析を室頂核からの出力について行った。 上丘の微小電流刺激を行い、眼球運動を誘発する部位を同定した後、ガラス電極を介して微量のデキストランビオチン又はホースラディシュペルオキシデース)を眼球運動が誘発される上丘深層に圧注入した。一定の生存期間の後、切片標本を作製し、逆行性にラベルされる細胞体の分布を小脳核でマッピングを行なった。細胞は両側性に分布していたが、対側優位であった。前後軸方向の分布を見ると、尾側の背側部に分布しており、頭側腹側の室頂核には存在しなかった。この領域は、四肢・体幹を支配する室頂核領域と考えられてきた部位に相当する。一方、細胞が分布していた尾側背側の領域が、眼球運動領域であるかを確認するため、前もって小脳の微小電流刺激を行って眼球運動が誘発される領域を同定した動物で、同様の注入実験を行ったが、室頂核尾側の眼球運動誘発領域の中に、標識細胞は分布していた。電気刺激で眼球運動が誘発される領域は、逆行性標識細胞の分布領域より広範囲にわたっていたが、それは尾側の細胞からの出力の軸索の走行に一致していた。両側性室頂核以外に、それに比べて大型の細胞が多数近接する中位核に分布していた。これらの細胞は、いずれも反対側にしか存在しなかった。前者は、小脳皮質のlobule VIIのPurkinje細胞からの投射を受けており、後者は、小脳皮質中間部にある、ManoやHikosakaらによって見いだされた眼球運動関連領域のPurkinje細胞から抑制性の入力を受けている部位であることが明らかになった。上丘注入部位の検討では、頭側部位のtracer注入による逆行性標識が多く見られたが、尾側部の注入では標識される細胞数は遥かに少数であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験は計画通り順調に進展し、確実に次のステップへ進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
上丘から小脳虫部や室頂核への入力経路、室頂核から脳幹への出力経路を、電気生理学的および解剖学的手法を用いて、詳細に解析し、小脳が眼球運動系においてシステムとしてどのように機能しているかを明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究費は主に、実験に用いる動物代、動物飼育料、手術関連薬品、染色用試薬などに用いる。
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