研究課題
正常なゼブラフィッシュ個体に侵害刺激を与えると尾を左右に振る、あるいは泳いで逃げるという逃避運動をする。研究代表者が本研究プロジェクトで単離した変異体は侵害刺激に全く応答せず、逃避運動をしないもので、発生に異常がないことは確認している。これらの変異体の責任遺伝子を同定すべく、遠系統のゼブラフィッシュと交配してF2世代を作製し、F3ホモ個体を得てマッピングを遂行した。214種類のマイクロサテライトマーカーを用いたラフマッピングの後にゲノム情報を利用してマイクロサテライトマーカーを自作して詳細なマッピングを進めた。第21番染色体上のユビキチンリガーゼタンパクであるリングフィンガープロテイン121に変異を同定した。この遺伝子はユビキチンリガーゼタンパクであることから、プロテアソーム依存的なタンパク分解に関わり、特定の基質にユビキチンを付加する反応を触媒するものと予想される。変異体にこの遺伝子のメッセンジャーRNAをインジェクションで導入すると変異をレスキュすることができた。またアンチセンスモルフォリノを用いたノックダウンを正常個体に行うと変異体の表現型を再現できたことから、変異体の責任遺伝子はリングフィンガープロテイン121に間違いないと確認できた。この変異体では感覚ニューロンに異常があるを思われるので、感覚ニューロンを刺激するマスタードオイルに対する反応を調べると、正常個体ではマスタードオイルに反応して逃避が誘導されるが、変異体ではマスタードオイルに誘発される逃避は観察されなかった。さらにマスタードオイルによる感覚ニューロンの応答をカルシウムイメージングで解析すると、正常個体ではマスタードオイルによるカルシウム上昇が見られたが、変異体ではカルシウム上昇は見られなかった。これらのことから、リングフィンガープロテイン121は感覚ニューロンの応答に必要であると言える。
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Genes Cells
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