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2011 年度 実施状況報告書

大脳皮質における異種グリア細胞間連関の解析

研究課題

研究課題/領域番号 23700480
研究機関生理学研究所

研究代表者

加藤 剛  生理学研究所, 発達生理学研究系, 助教 (20586705)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワード2光子顕微鏡 / ミクログリア細胞 / 錐体細胞 / 軸索
研究概要

大脳皮質一次体性感覚野第II/III層錐体細胞過剰興奮時の軸索に対するマイクログリア細胞の挙動変化を観察する目的にて現在実験を行っている。まず、シャドウパッチクランプ法を用いて大脳皮質スライス標本内の錐体細胞の2光子顕微鏡下での蛍光色素標識及び刺激法を確立した。次に神経細胞に電流注入を行い刺激を行ったところ、軸索の腫脹とそれに伴う腫脹した軸索へのマイクログリアの集積現象が観察された。また、これら両者の程度は電流の注入時間に依存していることから、神経細胞の活動依存性が有ることが予想された。また両者には相関関係が有り、このことから軸索の腫脹によりマイクログリア誘引物質の放出が引き起こされていることが示唆された。マイクログリアの誘引物質としてはATPやグルタミン酸が考えられるが、これらは細胞が腫脹した際に活性化する容量依存性陰イオンチャネルを介して放出されることが知られている。そこでこの容量依存性陰イオンチャネルの拮抗薬存在下に神経細胞の過剰興奮を励起したところ、マイクログリアの走化性亢進を抑制することが確認できた。また、ATP分解酵素存在下でも、マイクログリア走化性の亢進を部分的に抑制することができたことから、少なくとも軸索腫脹により放出されるATPはマイクログリア誘引物質の有力な候補と考えられた。またマイクログリア細胞周辺にて、グルタミン酸の2光子アンケージングを行うと、アンケージング局所にてマイクログリア細胞突起の引き込みを観察することができることから、グルタミン酸もATP以外の有力な誘引物質の候補で有ることが考えられる。今後、追加実験を行い更に検証を行う予定としている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

まず、2光子顕微鏡下での神経細胞軸索の蛍光標識が可能となった。またマイクログリア細胞突起の誘引物質の検討を行うため、2光子グルタミン酸アンケージング法の確立及び、各種拮抗薬を用いた薬理学的実験に着手している。総じて、計画に沿って実験を遂行できていると考える。

今後の研究の推進方策

マイクログリア細胞突起の走化性亢進の誘引物質の同定を進める。また、その他にも細胞膜電位とマイクログリア細胞の挙動変化との関連性に関して解析を進め、マイクログリア細胞の神経細胞に対する関わりが保護的に作用するのか、障害性に働くのかを検討していく予定である。

次年度の研究費の使用計画

神経細胞軸索由来のマイクログリア細胞の誘引物質の同定のため、薬理学的な実験を行うための各種拮抗薬の購入に費用を使用する。また特に、グルタミン酸に関してはこれが誘引物質にあたるかにおいて、議論が分かれているところでもあるため、マイクログリア細胞のグルタミン酸受容体の免疫染色を行う予定としており、その際の試薬購入に充てる。また、情報交換-収集のため適宜学会参加-発表を行う予定で、そのための旅費としても費用を使用する予定としている。

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公開日: 2013-07-10  

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