研究課題
脳は機能的局在性が高く、同じ遺伝子でも脳部位によりその機能的側面が大きく異なるため、脳部位限定的な遺伝子機能解析が強く望まれている。本研究目的は、既存の脳部位特異的遺伝子欠損マウスを有効利用しつつ、更に脳部位特異性の高める方法を確立させることにある。その為に2つの分子生物学的ブレークスルーが必要となる。そのうち一つは前年度までにクリアされているが、残る一つであるドミナント・ネガティブ機能を有するCre recombinase変異体の確立は困難を極めている。当初の予定では、Creのチロシン324残基をフェニルアラニンに置換したY324F変異体を第一候補としてドミナント・ネガティブ機能を解析していたが、期待通りの機能は確認されなかった。そこで平成25年度は、特定の候補変異体にこだわらず、ドミナント・ネガティブ機能の高い変異体を幅広く探索することを目的としたスクリーニング系の確立を目指し、準備を行った。並行して、チロシンキナーゼの全身欠損、カルシウムセンサー遺伝子の前脳特異的欠損マウスにおいて行動実験を中心とした表現型解析を進めた。そして、これらのマウスで共に著しい多動が生じる事が確認された。これら結果は、自発運動の機能基盤の理解に大きく貢献することが期待されるが、遺伝子欠損の脳部位特異性の低さ故に本質的な理解には限界があるのも事実である。今後、Cre recombinaseの良い変異体を得て、脳部位特異性の高い遺伝子改変技術を確立することにより、これら遺伝子の自発運動機能の研究も進めていきたい。
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Journal of Neuroscience
巻: 未定 ページ: 未定
http://www.ims.u-tokyo.ac.jp/NeuronalNetwork/Neuronal_Network/Index.html