研究課題/領域番号 |
23700491
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研究機関 | 中部大学 |
研究代表者 |
山田 貴史 中部大学, 応用生物学部, 助手 (50531860)
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キーワード | 脳イメージング / うつ病 |
研究概要 |
本研究課題の目的は、鬱病の早期診断および、抗うつ薬の治療効果観察のための脳画像診断法を確立することを主目的としている。前年度(23年度)には、動物用PET/CT装置FX-3200(ラット)を用い、脳内モノアミン(セロトニン・ドーパミン・ノルアドレナリン)に代表されるうつ病関連分子についてPET測定による画像取得を検討するとともに、脳内神経伝達や関連タンパク質の発現を測定し、PET画像の定量性を評価した。 本年度(24年度)には、ストレス、食事などの鬱病のリスク要因を動物に付加した時のPET測定を行い、鬱病の兆候をとらえることができるか検討した。PET画像取得後に、脳内モノアミン量測定、受容体・トランスポーターの遺伝子発現・タンパク質量測定など生化学的解析を行った。PET測定で得た画像と生化学的解析を比較検討し、うつ症状の惹起によるモノアミン代謝の変化をPET画像により捉えることができるか検討した。 水深拘束ストレス付加またはトリプトファン欠乏食摂取のラットの脳内セロトニンおよびその代謝物を測定したところ、脳のいくつかの部位で変化が観察された。ドーパミン、ノルアドレナリン濃度には変化は観察されなかった。また、神経栄養因子BNDFのmRNA発現量の低下が観察された。一方で、PET用セロトニントランスポーター測定薬剤である11C-DASBを用いて、脳内のセロトニントランスポーター分布画像を取得し定量解析を行ったところ、トランスポーターの分布に有意差は観察されなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究課題では、動物PET測定から得られた脳画像と生化学的分析を行い、両者を比較する事によりPET装置を用いたうつ症状の評価・診断の有効性について検討する。PET測定および複数の生化学的測定または、うつ症状惹起実験については概ね順調に行い一応の成果を得ている。一方で、加齢の関係性についても解析する予定だが、加齢動物の搬入手続きの関係からこの実験が遅れている。また、解析する生化学因子の項目を追加すると同時に、PET画像の定量についても解析方法を検討し、本研究で得られた結果について十分な評価を行いたい。
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今後の研究の推進方策 |
加齢動物を入手し、測定項目としては、これまで行った生化学分析(脳内神経伝達物質量測定、受容体・トランスポーターの発現量の測定、神経栄養因子の測定)およびPET測定による脳内受容体トランスポーターの分布解析を行う。 生化学分析については、セロトニン受容体のmRNA発現量測定を追加し、PET測定については、分析方法や解析する脳の領域の最適化など分析方法を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は国立長寿医療研究センター付属の実験動物センターの建替え工事により、実験動物の十分な供給がなく、動物購入のための消耗品費の未使用分が発生した。 平成25年度は新動物センター運営開始に伴い、動物の供給が再開されるため、その購入に使用する予定である。
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