研究課題
様々な形状のフレキシブル基板上に高密度に電極を実装した電極を作製し、1mm以上の空間分解能を達成する電極実装位置、頭蓋内での展開に適した基板形状を明らかにした。一方、高密度な電極実装によるチャンネル数の増加は臨床応用への即時性に乏しく、皮質脳波計測による機能診断においては1mmの空間分解能はオーバースペックであることから、本研究では最終的な電極間隔を5mm程度とすることとした。SMAガイドを用いた低侵襲な硬膜下への留置と頭蓋内での展開に適した基板形状をもつ電極について、サルへの長期留置を実施し3ヶ月を超える長期留置においても皮質脳波計測に十分な機能を持つことを確認した。SMAガイドについては、多数の動物実験を通じて侵襲性や計測領域を評価し、サルへの留置に適した形状として直径2cmの円形の記憶形状を採用した。加えて、形状回復に十分でかつ絶縁被覆外部への熱伝導がない(脳組織への熱的損傷がない)通電加熱の条件を明らかにした。特殊な基板形状をもつフレキシブル電極とSMAガイドを組み合わせた低侵襲硬膜下電極を、サル頭蓋骨に施した1cm以下の穿孔から硬膜下へ挿入・展開し、中心溝近傍に低侵襲に留置することに成功した。また、その低侵襲な留置下において、体性感覚誘発電位およびペニシリンGによって誘発したてんかん性放電を計測することに成功した。留置手術より1ヶ月以上経過しても脳波計測機能は十分なS/Nを保っている。また実験動物においても神経機能の影響は見られておらず、皮質組織への損傷はないと考えられる。
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Brain Research
巻: Vol. 1497 ページ: 53-60
DOI:10.1016/j.brainres.2012.11.041