研究実績の概要 |
本研究では、ヒトの脳波及び脳磁図から、意図時刻を推定することにより、意図に関連した脳活動の時空間パターンを抽出し、ブレイン・コンピュータ・インタフェース(BCI)の意図識別に役立てることを目的とする。 平成25年度の研究成果で、意図に関連した脳活動を明らかにするには、運動想像時の脳波及び脳磁図から刺激呈示に非同期な波形(Unlocked waveform)を推定するだけでは不十分で、数あるUnlocked waveformの中から条件(右手運動想像か左手運動想像か)に特有なUnlocked waveformを選択的に推定する必要があることが示唆された。そのため、平成26年度には、条件に特有なUnlocked waveformが推定できるように波形推定手法(Takeda et al., 2010)を拡張した。さらに、得られたUnlocked waveformを用いて被験者の意図を推定するアルゴリズムの開発を行った。そして、開発手法と既存の手法(刺激をトリガにした加算平均)のBCIの精度を比較した。結果、開発手法に精度向上は認められなかった。 近年、レスト時の脳活動には、タスク時と同様の脳活動パターンが含まれていることが明らかになってきた。これは、脳のネットワークに埋め込まれた過去の経験を反映していると考えられている。そこで、レスト時の脳活動データから繰り返し現れる時空間パターンを推定する手法を提案した。この手法は、連続データから、複数の時空間パターンをそのオンセット情報を用いずに推定することが可能である。提案手法をレスト中のfMRIデータに適用した結果、デフォルトモードネットワークに対応する時空間パターンが推定された。この手法をレスト中の脳波や脳磁図に適用することにより、記憶の想起や将来の想像に関わる脳活動パターンが高い時間解像度で明らかになるかもしれない。
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