研究課題/領域番号 |
23700500
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研究機関 | 社会医療法人大道会森之宮病院 |
研究代表者 |
三原 雅史 社会医療法人大道会森之宮病院, その他部局等, 研究員 (80513150)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | リハビリテーション / ニューロフィードバック / ブレインマシンインターフェース / 脳卒中 / 運動想像 / 神経変性疾患 / 立位歩行障害 |
研究概要 |
平成23年度には、これまで当院で開発を進めていた多チャンネル近赤外分光法(NIRS)を用いたリアルタイム解析システムを完成させ、NIRSを用いたニューロフィードバックの臨床応用に向けた取り組みを進めた。まず、手指動作想像中の運動感覚的な動作想像および動作想像に関連する大脳皮質活動が、NIRSを用いたニューロフィードバックで増強されることを、健常者を対象とした実験によって明らかにした。本研究では、右手指の運動想像中の運動関連皮質の活動をフィードバックした場合、無関係な信号をフィードバックした場合と比較して、運動関連皮質の活動がより大きくなり、また動作想像中の運動感覚的な動作想像がより明瞭になることが示唆された。これらの結果は、NIRSをを用いたニューロフィードバックが、脳活動を随意的に調整することで被験者の精神運動活動能力を改善させうる可能性を示唆したものであり、本年度はその成果を国際学会にて発表し(Mihara et.al. 41st Annual Meeting of Society for Neuroscience. at Washington DC)、さらに論文化した(Mihara et.al. PLoS One. 2012;7(3):e32234. Epub 2012 Mar 2.)。さらに引き続いて、われわれが目標としている脳卒中後の片麻痺患者において、NIRSを用いたニューロフィードバックが、リハビリテーションの効率を改善させ、手指機能の改善効果を促進させるかどうかについての検討も開始している。現時点ではまだ対象患者が少ないが、これまでの予備解析の結果について、国際学会で発表をおこなった(Mihara et.al. AHA International Stroke Conference2012. at NewOrleans, LA)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度までで多チャンネル近赤外分光法(NIRS)を用いたリアルタイム解析システムを用いた、ニューロフィードバック装置に関しての基本的な開発は終了し、学会発表(Mihara et.al. 41st Annual Meeting of Society for Neuroscience. at Washington DC)、および論文化も行った(Mihara et.al. PLoS One. 2012;7(3):e32234. Epub 2012 Mar 2.)。現在は臨床応用に向けた取り組みを進めており、侵襲性の極めて低いリハビリテーション介入装置としてのNIRSを用いたニューロフィードバック手法の確立に向けて、対象人数を増やして効果を確認している。昨年度までの中間解析結果に関してはすでに国債学会にて発表を行っており(Mihara et.al. AHA International Stroke Conference2012. at NewOrleans, LA)、大きな反響を呼んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
われわれが開発したNIRSを用いたニューロフィードバックシステムは、完全に非侵襲であり、比較的重度の患者においても適応がしやすい点で、これまでに開発されたニューロモジュレーション手法と比較しても、多くの患者が対象となる可能性が高く、新たなリハビリ手法として非常に意義深いものと考えられる。今後は脳卒中後患者に対する効果に関して、被験者数を増やして効果を確認するとともに、その結果についての論文化を進めていきたい。また、われわれのシステムは、上肢の運動想像課題に限らず、様々な課題に応用できうるシステムであり、健常者含め、脳卒中患者以外の中枢神経系の損傷患者への応用も期待できることから、更なる適応拡大に向けて、立位歩行など運動想像以外の様々な課題での応用や、脳卒中患者以外の神経変性疾患患者などへの応用など、幅広い分野への応用を目指した取り組みを続けていきたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
これまで得られた成果などについて、各種学会発表、および論文化などを行うとともに、更なる適応拡大に関して、国内外の様々な研究者との意見交換を行い、現状での問題点や今後の解決すべき課題などについても逐次解決を図っていく。また、立位歩行能力の向上などこれまでに検討した課題以外に関しても現在のシステムを応用できるように測定環境設定などの検討を行っていく。
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