研究概要 |
本研究では、世界のノックアウトマウスプロジェクトでの遺伝背景として、世界中で広く利用されているC57BL/6N系統グループの亜系統特異的なSNPの探索を行い、C57BL/6N亜系統間の遺伝的な違いをモニターできるSNPの情報を整備した。 C57BL/6NJ系統の塩基配列データを用いて構築された公的SNPデータベース(The Wellcome Trust Sanger Institute)より、C57BL/6NJ特異的なSNPとして高信頼度判定されたSNP遺伝子座を抽出し、実際のマウスDNAを用いてダイレクトシーケンスによりそれらの遺伝子型を確定した。多型性が確認できたものについて、染色体全体を網羅できるよう染色体領域に均等に遺伝子座の選定を行った。 データベースより推定された約1,400のSNP候補より、1からX染色体までの456の遺伝子座に対して、それらの遺伝子型を判定した結果、267の遺伝子座でC57BL/6NJユニークなSNPsを確認することができた。これらより、96カ所のSNP遺伝子座をマーカーとして選定し、国内外から入手した11種類のC57BL/6Nを由来とする亜系統グループの遺伝子型を判定したところ、7割の遺伝子座で亜系統間の多型が検出することができた。これらのSNP情報により、C57BL/6N亜系統の詳細な遺伝的プロファイリングをすることが可能となり、C57BL/6Nを背景とする系統の高度な遺伝背景統御に有用なツールとなることが期待された。
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