研究課題/領域番号 |
23700521
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研究機関 | 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター |
研究代表者 |
岡田 浩典 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所 遺伝子疾患治療研究部, 科研費研究員 (80416271)
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キーワード | アデノ随伴ウイルスベクタ ー / コモンマーモセット / 受精卵 / 遺伝子挿入 / 疾患モデル動物 |
研究概要 |
本研究ではアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを用いてコモンマーモセットの受精卵ゲノム上のAdeno-associated virus integration site 1(AAVS1)領域に限定された効率的な遺伝子導入方法を開発する。そのためは ①コモンマーモセットのAAVS1 領域の同定 ②AAVS1領域へ目的遺伝子を挿入するためのAAV ベクターの構築 ③AAV ベクターのコモンマーモセット受精卵への感染条件の検索が必要である。当該年度はその中でAAVベクターの構築およびその機能確認について重点的に実施した。昨年度に構築した、2型AAVのRepタンパク質を発現する5型AAVベクタープラスミドを用いてAAVベクター(rAAV5-hA2R68)を作製した。同時に、本AAVベクターの機能評価を目的として、CMVプロモーター下にGFPおよびblasticidin耐性遺伝子を発現する2型AAVベクタープラスミドを用いて1型AAVカプシドにシュードタイプ化したAAVベクター(rAAV1-CEIB)、およびコモンマーモセットの腎臓に由来する初代培養細胞にSV40 Large T抗原を導入して不死化細胞(CJKT細胞)を作製した。CJKT細胞にrAAV5-hA2R68およびrAAV1-CEIBを共感染させたところ、およそ0.1%の割合でGFP発現を発現し、かつblasticidinに耐性のコロニーが得られたため、これらの細胞のクローン化を実施中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では経済的・倫理的に多数の検討を行う事が難しい霊長類においても確実に効率良くゲノム上の安全な領域に限定して目的とする遺伝子を挿入するために、AAV ベクターを用いたコモンマーモセット受精卵への遺伝子導入方法の開発を行っている。本法は野生型アデノ随伴ウイルス(AAV)が持つRepタンパク質を作用させ、Repを欠損するAAVベクターゲノムを、対象であるコモンマーモセットのゲノムに挿入させる。当該年度はコモンマーモセットのAAVS1領域に特異的にベクターゲノムを挿入するために必要なAAVベクターを作製した。本AAVベクターのおおよその特性を把握するにあたり、コモンマーモセット由来不死化細胞株のAAVS1領域に対するAAVベクターゲノムの挿入を試みた。通常よりも遥かに高い確立で導入遺伝子を安定に発現するコロニーが得られており、能動的なAAVベクターゲノムの挿入が起きていると予想される。今後、実際のAAVベクターゲノムの挿入様式の解析を行うとともに、挿入効率を改善する事で、今後受精卵への応用が期待出来る。
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今後の研究の推進方策 |
本研究ではAAV ベクターを用いたコモンマーモセット受精卵への遺伝子導入方法の開発を行っている。本法は野生型アデノ随伴ウイルス(AAV)が持つRepタンパク質を作用させ、Repを欠損するAAVベクターゲノムを、対象であるコモンマーモセットのゲノムに挿入させる。現在までに、マーモセットにおいてもAAVS1領域がよく保存されていることを確認している。また、Repタンパク質を補助的に発現させるためのAAVベクターおよび挿入されるAAVベクターを作製している。これらのAAVベクターを実際にコモンマーモセットの不死化細胞に導入し、ホストゲノム上のAAVS1 領域へのAAVベクターゲノムの挿入について検討を開始しており、今後はその挿入様式にして検証を進める。また、実際にAAV ベクターを用いてコモンマーモセット受精卵に適した感染条件を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
Repタンパク質を補助的に発現させるためのAAVベクターの機能確認を進めているが、今後培養条件に敏感な受精卵に応用するにあたり、高力価かつ高純度なものを作製しなければならない。そのためには構築したベクタープラスミドを大量に調製する必要がある。このために培養液、抗生物質、精製キットを購入する。このベクタープラスミドをヒト由来不死化細胞に導入し、大量のAAVベクターを産生させる。このためにプラスミドの導入試薬、細胞培養液、抗生物質、培養容器等がを購入する。産生されたAAVベクターを高力価かつ高純度に精製しなければならない。そのため、精製に必要な試薬類、強イオン交換膜、遠心チューブ等を購入する。機能確認のために、調製したAAVベクターを細胞に感染させ、AAVベクターゲノムの宿主ゲノムへの挿入を検証する。そのため、細胞培養に必要な培養液、試薬類、培養容器等を購入する。また、挿入の解析に必要な試薬類を購入する。また、受精卵に対するAAVベクターの感染条件を検討する必要がある。このために受精卵の採取に必要な製剤類や培養液、試薬類を購入する。
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