研究課題/領域番号 |
23700528
|
研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
松田 純平 新潟大学, 医歯(薬)学総合研究科, 研究員 (00535271)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
キーワード | バイオエンジニアリング / 骨 / インプラント / 医用生体工学 / 再生医療 |
研究概要 |
金属製の人工関節,骨セメントや生体骨間の骨誘導はインプラントの初期固定性や長期成績に深く関係しており,再置換やースニングを引き起こす要因の一つと考えられている.このことから,本研究では人工関節置換術のような骨組織の結合が求められるような場合において,間隙を効率的に補填し接触領域を確保すること,さらに早期osteointegrationを獲得することを可能にするためのアテロコラーゲンおよび骨補填材料をベースとしたバブル様スキャフォールドの開発を試みた.本研究では,以下の2点について並行して実験的な検討を行ってきた.先ず,in vitroおよびin vivo における新規スキャフォールドの評価を行うこと,次に,新規スキャフォールド発生装置を開発することである.平成23年度は,in vitro実験系においては,滅菌されたエアーを物理的せん断する簡易的な装置を開発し,スキャフォールドを生成した.さらに,骨芽細胞樹立株MC3T3-E1細胞と共に1週間培養し,海綿骨様組織を作成した.この組織と機械的刺激伝導性との関係について評価したところ,タイプIコラーゲンによる一般的な3次元培養組織に比べ高い力学応答性を示した.さらに,本スキャフォールドを一時的にモールド成形し,wistar rat大腿骨遠位に埋植し,骨組織の形成について検討している.現在実験段階であり,引き続き評価進め,次年度までに結果をまとめる予定である.また,気泡サイズをサブミクロンまでコントロールし,バブル生成時の気泡の機械的強度を上げるため多糖類等の添加剤についても検討を進めている.ひずみゲージを用いた圧縮荷重計測を行ったところ,添加剤を含む群で機械的強度は高くなる傾向が認められた.今後,力学的パラメータの解析を行っていく予定である.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請時に予定していた検討に関しては,おおむね予定に沿った実験を行っている.in vitro顕微鏡下実験系における実験装置開発およびin vivo試験に関しても一様の成果が得られている.
|
今後の研究の推進方策 |
新規スキャフォールドの発生装置開発に関して,実験室レベルの簡易的なものからよりハンドリングの優れた装置に改善を進めているが,目標とするバブルのサイズコントロールが充分満足いくものとなっていないため引き続き装置仕様を検討し,開発していく予定である.さらに,使用によっては,多糖類などの添加を検討する必要があるため,これらについてもin vitroによる実験的検討を並行して進めていく予定である.
|
次年度の研究費の使用計画 |
基金化されたことで,研究機関を通した助成金の運用が可能となった.このことから,本年度は,単純な実験系による検討を重ねて必要な段階での慎重な予算執行ができた.研究を進める過程で,実験機器の開発,改善をさらに検討することでより効果的な成果が期待されるため,次年度に費用の繰り越しを行う事とした.次年度研究費は,機器改善費や試薬を含め,in vivo, in vitro実験系に用いる各種材料の購入を行う予定である.
|