研究課題/領域番号 |
23700528
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
松田 純平 新潟大学, 医歯(薬)学総合研究科, 客員研究員 (00535271)
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キーワード | バイオエンジニアリング / 骨 / インプラント / 医用生体工学 / 再生医療 / オステオインテグレーション |
研究概要 |
インプラント表面と骨組織とのギャップを補填し、早期osteointegrationを獲得する新技術の開発を行うため、平成23年度までにバブル様スキャフォールドの開発を行ってきた。アテロコラーゲンを主成分として、機械的せん断によるマイクロバブルを形成し、骨芽細胞MC3T3-E1を播種、最適条件で培養したところ、界面骨骨梁様の三次元単体が形成されることをin vitro実験系によって確認し、技術面における再現性も確立した。平成24年度では、バブル径と骨梁様スキャフォールドの形態的特徴との関係について実験的検討を行った。その結果、in vitroで形成された骨梁様組織の形態的特徴はバブル系に依存し、形成される骨梁の複雑性や緻密性、骨梁方向は気泡サイズに依存することが確認された。さらに、骨梁様組織のメカニカルストレスに対する応答について検討を行うため、作成したスキャフォールドを顕微鏡観察下でせん断刺激し、スキャフォールドの形態的変化や組織を構成する骨芽細胞の応答をリアルタイム観察可能なシステムを設計、開発した。予備実験において、0.5%程度のせん断刺激に対して骨梁構造は維持され、さらに、骨梁様組織及び構成細胞がメカニカルストレスを伝達していることを確認した。また、バブルを構成する成分としてセルロース等の多糖類を濃度別に添加したところ、添加しない群に比べ、起泡性成功率、強度、バブル径小型化の点において改善された。年度後半にラットを用いた動物実験を行う予定であったが、動物飼育棟改修に伴う施設利用制限があったため、これらの実験は平成25年度に行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
in vitroによる実験的検討に関して、申請時に予定していた検討はおおむね予定に沿った実験を行っている。しかしながら、予定していた動物実験に関しては、実験施設の改修に伴う平成25年度7月までの使用制限期間があり、期間延長申請を行い次年度の検討課題とした。また、検討項目としてメカニカルストレス(せん断、ひずみ)に関して、成果を明確にするためのより動的な観察が必要となったため、顕微鏡下で細胞および本スキャフォールドの状態をストレス段階に応じて観察できる実験装置の開発に取り組み、完成させた。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度に検討する予定であった動物実験を中心に実験的検討を行う予定である。さらに、開発した顕微鏡下リアルタイム観察システムを用いたin vitro実験を行う。ここでは、骨梁様組織の変形状態や組織を構成する骨芽細胞のカルシウム応答、装置による連続ストレス負荷下で1週間組織培養を行い、ストレス環境下における骨形成能の亢進効果を検討する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究費はおおむね動物実験に関わる消耗品として使用する予定である。この中には、ラット長管骨内に埋植する際の治具作成費が含まれる予定である。
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