研究課題/領域番号 |
23700535
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
福島 修一郎 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (40362644)
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キーワード | 生物・生体工学 / 計測工学 / 移植・再生医療 / バイオメカニクス / 非線形光学 |
研究概要 |
細胞スケールでコラーゲン基質を観測するためのマイクロ流体デバイスを開発した.シリコーン製のデバイスには培養液と混合ガスを還流する流路が設けてあり,血管新生の環境因子として重要な酸素濃度を任意に制御することができる.コラーゲンゲルに内皮細胞を播種した血管新生モデルをデバイス内に作製して,細胞遊走過程をSHG顕微鏡を用いて観測した結果,酸素濃度に依存した細胞運動性と基質再構築に伴うSHG光強度の変化を確認することができた. 組織スケールの変形解析のために,動脈硬化発症部位の血管壁の有限要素モデルを作成した.硬化部位の材料特性を考慮した不均一モデルを構築するために,X線CT画像の輝度値を利用した.原子発光分析を用いて実測したカルシウム含有量とCT輝度値には相関があることが確認できたので,CT輝度値をもとにして決定した材料定数を血管壁領域に不均一に分布させた さらに,血管壁の材料特性の異方性を検討するために,壁内のコラーゲンの配向状態を偏光SHG顕微鏡で観測した.入射偏光状態の最適化およびSHG画像取得の高速化のために,入射偏光の制御法を,従来の機械的な波長板回転から電気光学変調器を用いる方法に変更して顕微鏡を改良した.これにより,より詳細なSHG強度の偏光依存性を観測できるようになった.取得したSHG画像から算出するコラーゲン配向状態の評価指標として配向ベクトルを定義し,従来の光学顕微鏡では可視化ができないサブミクロンスケールのコラーゲン構造の定量解析が可能となった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の予定していた細胞および組織のマルチスケールシミュレーションのスキーム開発までは至らなかったため,補助事業期間を延長する.
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今後の研究の推進方策 |
これまでで細胞および組織の各スケールでの計測およびモデル化の手法は確立できた.これらを融合したマルチスケールシミュレーションのスキーム開発を行い,実測結果と比較して妥当性を検討する.
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額376,173円から,培養試料の調整のための消耗品に100,000円,成果報告のため旅費および英文校閲に残額を使用する.
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