研究課題/領域番号 |
23700537
|
研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
喜多村 真治 岡山大学, 大学病院, 助教 (70467752)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
キーワード | 臓器再生 / 幹細胞 |
研究概要 |
【研究要旨】本研究は、成体腎臓から得られた腎臓幹/前駆細胞を使用し、三次元培養することにより腎臓の最小構成単位であるネフロン構造を作成することに成功したが、その各部セグメントへの分化について基礎的な解析を行い、胎生腎臓との比較検討をすることにより、発生・再生との相違点を見出し、再生研究の基礎的な検討を行うものである。【平成23年度実績】(1)成体腎臓幹/前駆細胞を使用したネフロン様構造作成の確立:我々は、昨年度腎臓構造体の更なる構造構築の向上に向け検討を行った。既存の腎臓分枝因子で行ったが、有意な向上は認められなかった。現在、環境要因である低酸素条件などの条件を検討している。(2)成体腎臓幹/前駆細胞を使用した腎臓様構造物(KLS)の各部遺伝子・蛋白・機能発現の検討:上記1により作成した腎臓様構造物のRNAを回収し、DNAアレイを行った。adult kidney (AK)の遺伝子をControlとして、KS cell、KLS 1W,KLS 3W,(胎生13日腎)E13K,(胎生17日腎)E17Kの遺伝子発現解析をした。一般的な腎臓発現遺伝子 9265個を基準として 2down以下の遺伝子発現を除いた一致率は、E13K vs AKは79%、E17K vs AKは81%、KScell vs AKは80.6%、KLS1W vs AKは81%、KLS 3W vs AKは82%の一致率でした。2upの過剰発現の遺伝子を除き、AKとの有意差なしの遺伝子発現率はE13K vs AKは56.9%、E17K vs AKは59.6%、KScell vs AKは60.7%、KLS1W vs AKは66%、KLS 3W vs AKは64.3%であった。一致率としては、ほぼ腎臓発生と同じような経過であり、その中でどのような相違があるかなどを今後とも検討していく。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
(1)成体腎臓幹/前駆細胞を使用したネフロン様構造作成法の確立については、今まで数多く発生分野で報告されている分岐誘導因子(プライオトロピン(Sakurai H at el.Develpoment 2001)、BMP-7(Oxburgh et al. Development 2004),HGF(Bowes at el. J cell physiol 1999)など)を添加することにより、検討を行ったが、有意な向上は認められず、現在低酸素環境などニッシェ環境の変化による影響もあると考え、検討を行っている。(2)成体腎臓幹/前駆細胞を使用した腎臓様構造物の各部遺伝子・蛋白・機能発現の検討については、DNAアレイを行い、遺伝子発現の違いを検討した。これはほぼ遂行できており、今後遺伝子の検討を行い、次年度に繋げていく。
|
今後の研究の推進方策 |
(1)成体腎臓幹/前駆細胞を使用したネフロン様構造作成法の確立については、低酸素環境などニッシェ環境の変化による影響もあると考え、検討を行っている。(2)成体腎臓幹/前駆細胞を使用した腎臓様構造物の各部遺伝子・蛋白・機能発現の検討については、DNAアレイを行い、遺伝子発現の違いを検討した。今後遺伝子の検討を行い、本年度に繋げていく。(3)成体腎臓幹/前駆細胞からの腎臓様構造の遺伝子抑制による変化の検討:平成21年度に計画した腎臓再生期に働く遺伝子を検討することにより、再生に関係する遺伝子の候補を考え、その遺伝子をin vitroのバイオアッセイ系にてSiRNAなどを使用し遺伝子の機能を抑制することにより、腎臓構造の再構築ができるかなどを検討する。(4)成体腎臓幹/前駆細胞を使用した多発性嚢胞腎などの先天性異形成腎の作成:成体腎臓幹/前駆細胞にリポフェクション法などを使用し、PKD1遺伝子などの遺伝子導入を行い、その遺伝子導入された細胞が多発性のう胞腎などの構造をとるかなどを検討する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
次年度は、物品購入はなく、消耗品850000円、学会発表などの旅費 200000円、人件費・謝金 50000円、その他 100000円に使用予定です。繰り越しの9224円については、次年度も引き続き消耗品のチップに使用する予定です。
|