研究概要 |
【研究の目的】本研究は、成体腎臓から得られた腎臓幹/前駆細胞を使用し、三次元培養することにより腎臓の最小構成単位であるネフロン構造を作成することに成功したが、その各部セグメントへの分化について基礎的な解析を行い、胎生腎臓との比較検討をすることにより、発生・再生との相違点を見出し、再生研究の基礎的な検討を行うものである。 【研究計画】成体腎臓幹/前駆細胞(KS細胞)から腎臓構造再構築を行い、その遺伝子発現と発生腎である胎生13日腎、胎生17日腎、成体腎(12週齢ラット腎)との遺伝子発現についてDNAアレイにて解析を行った。 【結果】本構造の構築経過における遺伝子発現は成体腎臓に発現する腎臓関連遺伝子9265遺伝子を基準とし、構築経過において、胎生13日腎では56.9%の一致率、胎生17日腎では60.7%の一致率であるのに対し、腎臓構造体培養3Wでは64.3%の一致率であった。また、NephrinやAQP-1,2など腎機能的遺伝子発現も発生腎と同じく腎臓構造体における遺伝子発現も向上しており、顕微鏡レベルの構築のみならず、遺伝子発現などにおいても発生と同様の遺伝子発現と近似していることが確認された。 【考察・重要性】作製腎臓の遺伝子発現と成体・発生腎臓の遺伝子発現との一致率は相関していることが示唆された。しかし、形態構築過程との相違もあり、更なる検討が必要と考える。
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