研究課題/領域番号 |
23700547
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研究機関 | 函館工業高等専門学校 |
研究代表者 |
森谷 健二 函館工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (90342435)
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キーワード | ニワトリ胚 / 体動 / 低酸素症 / 電磁波曝露 |
研究概要 |
1)間歇性低酸素症を想定した任意低酸素環境制御システムの製作:H24年度は慢性低酸素状態における体動解析の解明と平行して,次のステップである間歇性低酸素状態における体動解析のためのシステム製作を第一の目的とした.任意の酸素環境はO2とCO2の混合であれば高額ではあるものの市販されているが,O2とN2の任意酸素濃度設定システムは市販されていない(あるいは特注品となる)ため,我々が設計・製作する必要があった.結果としてPCタイマーを利用した,O2濃度精度±0.2%,目標酸素濃度到達制御時間60秒以内,最低連続稼働30日の任意酸素濃度環境システムを完成させた.これによりH25年度は間歇性低酸素症における体動計測を開始する. 2)慢性低酸素症特有の体動パターンの解析:前年度に引き続き,15%O2の慢性低酸素環境における体動の計測を行った.3日令までは通常環境による孵卵を行い孵卵開始後72時間(3日令)から6日令まで低酸素環境下においての孵卵及び撮影を行った.低酸素環境下では体動の成長パターンが正常胚に比べて遅れる特徴があり,低酸素によりエネルギーの燃焼が少ないためか体動も通常胚に比較して少ないという結果が得られた.慢性低酸素に関してはある程度の共通したパターンが得られたので,今後は前述した間歇性低酸素症特有の体動パターンを調査する. 3)ニワトリ胚における電磁波の影響:前年度までの研究により携帯電話の周波数帯において,ニワトリ胚の孵化率,成長率に影響がある事が明らかになったため,H24年度は2.4GHz帯使用の携帯電話実機による影響を調査するために任意時間の電磁波曝露制御システムの構築を行った.また,本研究では胚の成長率はハンバーガ・ハミルトン方のステージに基づくために簡易的に撮影するための画像撮影装置の製作も行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1)間歇性低酸素症を想定した任意低酸素環境制御システムの製作: H24年度に任意の低酸素環境制御システムが完成したことは「当初の計画以上に進展している」であるが,そのシステムを用いた実験まで至っていないためにテーマとしては「おおむね順調」である. 2)慢性低酸素症特有の体動パターンの解析: 当初計画に近い実験例数が得られ,なおかつ特徴的な体動パターンも得られている点は「当初の計画以上に進展している」であるが,画像解析システムの改良が滞っているためにテーマとしての達成度は「おおむね順調」である. 3)ニワトリ胚における電磁波の影響: 携帯電話実機を用いた2.4GHz帯電磁波曝露システムを完成した点は「当初の計画以上に進展している」のだが,それを用いた実験例数が予定例数に届いておらず,テーマとしての達成度は「おおむね順調」である. H24年度は総じて次のステップのために必要なシステム製作を行った.これらのシステムの完成は予定以上の達成度であるが,それを用いた実験まで至っていないことから,すべてのテーマを統括した場合の達成度は「おおむね順調」と評価する.
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今後の研究の推進方策 |
研究総括: 次年度は最終年度であるので,本研究で進めてきた「低酸素状態におけるニワトリ胚の体動解析」および「2.4GHz帯の電磁波曝露の影響調査」について可能な限り多くの例数について実験を行い,年度中盤から成果報告としてまとめる(したがって,本研究成果の公表は次年度になる見込みである).H24年度にある程度の知見を得る予定であった「電磁波曝露により熱吸収に関する実測値と空間差分法(函館高専電気電子工学科,森田教授と連携)による数値シミュレーションとの比較」に関しては予定より遅れているので,進み具合によっては実測を優先して行い,シミュレーションとの比較研究は次年度以降の課題とする予定である. 今後の研究に関して:本テーマにより疾患特有の生理パラメータシグナルに関してある程度明らかになった段階で連携協力者である国立循環器病センター下内医師と連携して哺乳動物への発展および平行してドイツ・オランダの世界家禽学会所属の研究者(Dr.Heike,Dr.Yahav)との胎児モデルの疾患予知に関する研究を進める.
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次年度の研究費の使用計画 |
H24年度中に任意低酸素環境制御システムと任意時間の電磁波曝露システムの計測システムの完成ができ,そのために物品費に関しては予定通りの予算執行が行われた.次年度は実際に相当回数の実験を行う事になるのでその分の予算(実験卵および送料25万)を繰り越しており,おおむね予定通りと考えている.最終年度は実験および成果報告が中心となるために大きな実験設備の購入は予定しておらず,実験に必要な計測PCの追加購入(10万)およびシステム制御用電子回路の追加購入(15万)を予定している. システム作成を優先したために今後の研究打ち合わせ等で予定していた旅費を使用しなかった.そのために次年度に関しては本研究の発展のための打ち合わせ(ベルリン25万),学会発表(国内2件20万,海外1件25万)で申請時の予定よりも旅費が多くなることを予想している.また,本年度はデータ蓄積,データ解析を中心に調査を行ったが,来年度はこの成果報告を行うので論文投稿費,学会参加費も当初より多く予定している.
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