研究課題/領域番号 |
23700551
|
研究機関 | 独立行政法人国立病院機構刀根山病院(臨床研究部) |
研究代表者 |
遠藤 卓行 独立行政法人国立病院機構刀根山病院(臨床研究部), その他部局等, 研究員 (40573225)
|
キーワード | 生体情報・計測 |
研究概要 |
(1)パーキンソン病筋強剛の関節角度―トルク特性に関する解析と病態モデル構築 昨年度の実績として筋強剛が肘関節角度に依存して変化することを示したが、この成果を国際英文誌Parkinson’s Diseaseに投稿し、掲載された(査読あり、JSPSへの謝辞あり)。 また、パーキンソン病筋強剛の定性的な分類としてcogwheel rigidityとlead-pipe rigidityがあるが、これらの特性を明らかにするために肘関節トルク時間変化のパワースペクトル解析を行った。具体的には高齢健常者10名、PD患者10名に対して計測実験を施行し、関節角度に対する単位時間のトルク変化について、高速フーリエ変換(FFT)を用いてパワースペクトル解析を行った。その結果、高齢健常者では目立った周波数特性を示すピークはなく、lead-pipe rigidityを認める患者では約4-6Hzと約10-12Hzに再現性のある二峰性のピークを認めた。一方、cogwheel rigidityを認める患者では10Hz以下の帯域に多数のピークを再現性なく認める傾向がみられた。この結果よりPD患者の肘関節トルク時間変化を解析することでrigidityの病態分類が可能となることが示唆され、この成果は2012年5月の日本神経学会学術大会および、11月の国立病院総合医学会で発表し、反響を得た。後者ではベストポスター賞を受賞した。 (2)痙縮のある患者の筋トーヌス計測および関節角度―トルク特性に関する解析 昨年度、千里中央病院で計測した5名のデータを解析した結果、トルクが関節角度の途中で急激に変化するジャックナイフ現象をとらえることに成功した。ジャックナイフ現象は痙縮でみられる特徴的な現象であり、痙縮の病態モデル構築へ着手することができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
筋強剛については、昨年度実績の成果を英文論文として発表し、さらに周波数解析による新たな知見を得て国内学会で発表するなど一定の成果が出ている。またこれらの成果をもとに病態モデル構築をすすめており、予定通りに進展している。 痙縮患者の計測については、少数のデータから痙縮に特徴的な現象を抽出できており、おおむね予定通りに進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
平成25年度も引き続き、筋強剛および痙縮の角度ートルク特性解析から病態モデル構築をすすめていく。PD患者についてはすでに100名以上のデータ採取ができており、筋強剛の速度依存性についてまとめるとともに、これまでの成果と合わせて病態モデルを構築する。 痙縮については、今後さらに症例数を増やし経時的なデータを集める必要があるが、小型筋トーヌス計測装置が昨年末に完成し、新たに多根脳神経リハビリテーション病院での脳卒中患者計測体制を整備した。これにより、計測・解析が加速することが期待される。
|
次年度の研究費の使用計画 |
計測に必要な筋電図電極、電子部品等部材一式を購入予定である(10万)。 データ解析用パソコン一台を購入予定である(40万)。 研究補助員に対する謝金を支払う予定である(65万)。 論文投稿のため英文校正、投稿料を支出する予定である(10万)。 資料収集、研究成果発表のための国内学会へ参加予定である(10万)。
|