(1)パーキンソン病筋強剛の関節角度―トルク特性に関する解析と病態モデル構築 パーキンソン病筋強剛の特徴は、主関節の他動的運動による抵抗の強さが一定で、その速度に依存しないとされてきたが、本年度は筋強剛の速度依存性を明らかにする計測実験を行った。計測は、パーキンソン病患者20名の一側上肢の肘関節に対して、2秒間かけて受動的に肘関節を屈曲または伸展される場合(角速度約60度/s)と、1秒間かけて屈曲または伸展される場合(角速度約120度/s)の計2回計測実験を施行し、関節角度およびトルクを、筋トーヌス計測装置を用いて計測した。得られたデータの屈曲・伸展相からそれぞれの弾性係数(ばね係数)を算出し、また屈曲・伸展相におけるトルクの平均値の差をとり(バイアス差)、筋強剛の定量的指標とした。結果として、屈曲時ばね係数と伸展時ばね係数では、角速度変化による差は認めなかった。一方、バイアス差については角速度60度/sと120度/sで有意な差を認め、速度依存性があると考えられた。この成果は2013年5月の日本神経学会学術大会および、6月の17th International Congress of Parkinson's Disease and Movement Disordersで発表し、反響を得た。また、この成果を英文論文としてまとめており、国際英文誌に投稿中である。 (2)痙縮のある患者の筋トーヌス計測および関節角度―トルク特性に関する解析 多根脳神経リハビリテーション病院の脳卒中患者に対する計測を開始し、これまでに13例のデータを取得した。本年度に開発したデータの解析手法は、これまでにない新しい方法で痙縮があるかどうかを判断できるものであり、特許申請準備をすすめている。
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