研究課題/領域番号 |
23700552
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
兵藤 守 北海道大学, 薬学研究科(研究院), 特任助教 (30548186)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | アプタマー / リガンド / active targeting / DDS / SELEX / 腫瘍血管内皮細胞 / 脈管形成阻害 / 内在化 |
研究概要 |
本研究の目標は active targeting 実現のための新規核酸型アプタマーリガンドの創製である。副作用の低減、作用効果の増進のためには、薬剤を選択的に標的とする組織/細胞へ送達する方法の開発が必須であり、それを実現するための標的素子の創製は喫緊の課題である。申請者は20-40 鎖長ほどのオリゴヌクレオチドからなり、特殊な二次構造により高い結合親和性および選択性で結合する分子群であるアプタマーに着目し、研究を行った。今回、初代培養腫瘍血管内皮細胞を標的としてDNAアプタマーの単離を試み12回のセレクションとさらに正常血管内皮細胞および腫瘍実質細胞を用いてカウンターセレクションを行った。初代培養腫瘍血管内皮細胞は系代された細胞と比較してin vivoでの様態を良く再現している。ここから合計48個のDNAアプタマーを得た。このアプタマーは腫瘍血管内皮細胞選択的であると想定されるが、果たして、ここで得られたアプタマーは腫瘍血管内皮細胞選択的であった。このアプタマーをAraHH001と名付けた。 このようにして、腫瘍血管内皮細胞選択的なAraHH001を得ることができた。そこで、AraHH001の有用性を示すため、さらなる機能探索を行った。蛍光標識AraHH001を腫瘍血管内皮細胞と処理し、共焦点レーザー走査型顕微鏡で観察したところ、エンドソームとの共局在を観測することができた、この事実はAraHH001が細胞に取り込まれたことを意味しており、リガンドとしての使用可能性を示すことができた。またAraHH001は脈管形成を阻害することが分かった。この成果は、AraHH001が新生血管形成を阻害することを示しており、医薬としても使用できる可能性が有ることを示している。現在これらの成果を特許および論文として発表するための準備を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
腫瘍血管内皮細胞に対するSELEXを実施し、目的とするアプタマーを得ることができた。さらにそれらのアプタマーの生物学的性質を検討し、脈管形成阻害、内在化など様々な性質を有することを明らかにすることができた。そのような視点から、本研究は十分進んでいると言えるが、残念ながら論文化、特許化は完了しておらず、そのような観点から(2)とした。
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今後の研究の推進方策 |
本研究はここまで順調に進んでおり、今後は論文化、特許化を進めながら、並行して、計画通りMEND へアプタマーを導入し、active targeting の達成を目指す。具体的にはアプタマー - 脂質複合体を化学合成し、それを元にMENDの脂質組成を検討し、in vitro において腫瘍血管内皮細胞に取り込まれるかどうかを検討する。さらに、そこで決められた最適条件を用いてin vivoでの検討も行い、ガンに対する治療効果が得られるかどうかを調べる。また、脈管形成に基づく血管新生阻害療法も期待できるので研究計画には含まれていないものの、そちらの課題の達成も試みる。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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